2024年3月7日 00:39
タスク完了への応援コメント
こんばんは。 読了後、感想は改めて、と思っていたら遅くなりました。 まず、先ほどのコメントについて、ご確認いただきましてありがとうございました。書き送ってから数時間後になって、「そう言えば、書くだけ書いて、理由を書き忘れたな」と気付いたのですが、そうです、地の文の時点では全て過去のことだからです。「来年」では主人公が語っている時点の次の年になってしまうので、回想されている時点の次の年なら「翌年」の方が適切だろう、というのがコメントの意図です。説明不足ですみませんでした。 さて、タグにもある通り、主人公視点で見た本作の世界はどう考えてもディストピアなわけですが、本文にも何度か書かれていたところでは、社会問題の類はほとんど全て解決されているとのことで、その意味ではユートピアでもある、と。社会全体の「成長」のために人間それぞれの尊厳の一切が剥奪されていて、にもかかわらず、主人公をはじめとした人間たちは自分が生き続けるために、そんな社会に疑問を差し挟むこともできない、という。共産主義と新自由主義という一見すると正反対のものに共通する、「個人の尊厳の毀損」という病理をアイロニカルに描き出している点で、とても切れ味の鋭い短編だと思います。★3つでは足りないくらい、感銘を受けました。 昨今はSNSの影響力増大もあってブラック企業・ブラック労働は問題視される傾向にありますが、一方で、グローバル資本主義が世界を席巻しつつあることに間違いはなく、日本では国家的な社会保障制度の後ろ盾もないのに、労働者としての権利の点で極めて脆弱な非正規雇用が広まりつつあります。現に、「労働法なんて守っていたら会社が倒産してしまう」、「日本企業の国際競争力のためには、賃金の引き上げなどしていられない」などといった言説はまだまだ根強いように見受けられます(人々をどんどん競争に駆り立て、安らぎを奪い、休む間も与えないでおきながら、一体、何のための会社、何のための社会、何のための経済成長なのでしょうか)。個人の尊厳の毀損という点で考えたとき、本作のような世界は将来的に到来するかもしれない、もしかすると既に到来してしまっているのかもしれない世界だと思えてなりません。 作品それ自体もさることながら、主人公が忙しさと精神的負荷によって集中力と思考力を欠き、散発的で取り留めない「愚痴」や「回想」をくり返す事態に陥っているさまを描写するにあたって、普通であればWeb小説特有の制約と思われる要素、つまり、理屈っぽいことを言ったり、行間を詰めすぎたり、1ページ辺りの文字数を多くしたりすると読まれにくくなる点を、逆手にとっていることも印象的でした。Web小説として光る表現をした上で、Web小説だからこそ光る表現になっていて、「そうか、Web小説でならこんな表現ができるのか」と、Web小説の書き手の1人として新たな気付きを得た心地です。しかも、これはKACのお題に合わせて書かれた作品ということで、「すごい」とただただ驚嘆するしかありません。全てを読み終えた後で見る最後のページも、鮮烈でした。 最後になりましたが、不慣れながらレビューを書かせていただきました。解釈違いやご不満があるようなら遠慮なく削除してくださって構いませんので、よろしくお願いいたします。 長文失礼しました。
作者からの返信
コメントありがとうございます。 レビューも含め、内容を拝見させていただきました。構成部分に関しては、流石に一話にまとめるとちぐはぐした内容になってしまう為、細かく分けていったという経緯があります。 内容は仰る通りです。人間が如何に綱渡りをしてきたのか、これからも続けるとどうなるのか、という予想図のつもりでした。 現在の環境と私的な感情と読んだ本の情報、それらが混在して出来たものが本作です。 ディストピア小説では支配者層や暴徒、AI、人間心理など、様々なものを「敵」にしてきました。 良いものと悪いものを分けて、悪いものを取り除くことで「平和で幸せな生活」が過ごせるはずだと伝えられてきました。 自分もそれを信じていましたし、今もその考えのもと動くだろうと思うのです。 ですが、そんな当たり前の考え方に疑問符がついて消えなくなってしまったのです。 都合のいい存在が、すべての「敵」を取り除いたとして、それでも今の考え方を進めていったら、再び袋小路に追いやられるのではと。 継続的成長を是とする考え方は、究極的には以下に突き当たります。・当たり前だったものを取り上げ、それを「商品」という形で売る。・本来不要なものに無理やり価値をつけて「商品」にする。・「商品」を安く、多く生産するために倫理的に問題のある行為、思考に達する。 これが出来ないと不況という形で爆発し、多くの市民に影響が出るというものです。 この考えは世界中で広く伝わっている為、先述した「良いもの」に振り分けたもののはずです。 改善、進歩、向上。「やりがい搾取」なんて言葉もあるように、前向きな言葉は後ろ向きな言葉よりも妄想を生み出しやすく、それを正当化しやすいのです。 そんな背景を諦観も含めて書いたのが本作となります。 この作品は未熟な作品です。 言いたいこと、伝えたいことばかりが先行し、読みやすさ(文章の量というより脈絡)に難があるように感じます。 そう伝わらないかもと身構えていましたが、あじさい様をはじめ、きちんと伝わった方々がいることに喜びを感じております。
2024年3月3日 11:59
「向こう岸」の一つをリアルに見せていただいた気がします。最後まで一気に読みました。秀逸な作品だと思います。
コメントありがとうございます。下手に助かるとこうなるという未来予想図のつもりではありました。その前に破綻するのが大半なんでしょうけども。
タスク完了への応援コメント
こんばんは。
読了後、感想は改めて、と思っていたら遅くなりました。
まず、先ほどのコメントについて、ご確認いただきましてありがとうございました。書き送ってから数時間後になって、「そう言えば、書くだけ書いて、理由を書き忘れたな」と気付いたのですが、そうです、地の文の時点では全て過去のことだからです。「来年」では主人公が語っている時点の次の年になってしまうので、回想されている時点の次の年なら「翌年」の方が適切だろう、というのがコメントの意図です。説明不足ですみませんでした。
さて、タグにもある通り、主人公視点で見た本作の世界はどう考えてもディストピアなわけですが、本文にも何度か書かれていたところでは、社会問題の類はほとんど全て解決されているとのことで、その意味ではユートピアでもある、と。社会全体の「成長」のために人間それぞれの尊厳の一切が剥奪されていて、にもかかわらず、主人公をはじめとした人間たちは自分が生き続けるために、そんな社会に疑問を差し挟むこともできない、という。共産主義と新自由主義という一見すると正反対のものに共通する、「個人の尊厳の毀損」という病理をアイロニカルに描き出している点で、とても切れ味の鋭い短編だと思います。★3つでは足りないくらい、感銘を受けました。
昨今はSNSの影響力増大もあってブラック企業・ブラック労働は問題視される傾向にありますが、一方で、グローバル資本主義が世界を席巻しつつあることに間違いはなく、日本では国家的な社会保障制度の後ろ盾もないのに、労働者としての権利の点で極めて脆弱な非正規雇用が広まりつつあります。現に、「労働法なんて守っていたら会社が倒産してしまう」、「日本企業の国際競争力のためには、賃金の引き上げなどしていられない」などといった言説はまだまだ根強いように見受けられます(人々をどんどん競争に駆り立て、安らぎを奪い、休む間も与えないでおきながら、一体、何のための会社、何のための社会、何のための経済成長なのでしょうか)。個人の尊厳の毀損という点で考えたとき、本作のような世界は将来的に到来するかもしれない、もしかすると既に到来してしまっているのかもしれない世界だと思えてなりません。
作品それ自体もさることながら、主人公が忙しさと精神的負荷によって集中力と思考力を欠き、散発的で取り留めない「愚痴」や「回想」をくり返す事態に陥っているさまを描写するにあたって、普通であればWeb小説特有の制約と思われる要素、つまり、理屈っぽいことを言ったり、行間を詰めすぎたり、1ページ辺りの文字数を多くしたりすると読まれにくくなる点を、逆手にとっていることも印象的でした。Web小説として光る表現をした上で、Web小説だからこそ光る表現になっていて、「そうか、Web小説でならこんな表現ができるのか」と、Web小説の書き手の1人として新たな気付きを得た心地です。しかも、これはKACのお題に合わせて書かれた作品ということで、「すごい」とただただ驚嘆するしかありません。全てを読み終えた後で見る最後のページも、鮮烈でした。
最後になりましたが、不慣れながらレビューを書かせていただきました。解釈違いやご不満があるようなら遠慮なく削除してくださって構いませんので、よろしくお願いいたします。
長文失礼しました。
作者からの返信
コメントありがとうございます。
レビューも含め、内容を拝見させていただきました。構成部分に関しては、流石に一話にまとめるとちぐはぐした内容になってしまう為、細かく分けていったという経緯があります。
内容は仰る通りです。人間が如何に綱渡りをしてきたのか、これからも続けるとどうなるのか、という予想図のつもりでした。
現在の環境と私的な感情と読んだ本の情報、それらが混在して出来たものが本作です。
ディストピア小説では支配者層や暴徒、AI、人間心理など、様々なものを「敵」にしてきました。
良いものと悪いものを分けて、悪いものを取り除くことで「平和で幸せな生活」が過ごせるはずだと伝えられてきました。
自分もそれを信じていましたし、今もその考えのもと動くだろうと思うのです。
ですが、そんな当たり前の考え方に疑問符がついて消えなくなってしまったのです。
都合のいい存在が、すべての「敵」を取り除いたとして、それでも今の考え方を進めていったら、再び袋小路に追いやられるのではと。
継続的成長を是とする考え方は、究極的には以下に突き当たります。
・当たり前だったものを取り上げ、それを「商品」という形で売る。
・本来不要なものに無理やり価値をつけて「商品」にする。
・「商品」を安く、多く生産するために倫理的に問題のある行為、思考に達する。
これが出来ないと不況という形で爆発し、多くの市民に影響が出るというものです。
この考えは世界中で広く伝わっている為、先述した「良いもの」に振り分けたもののはずです。
改善、進歩、向上。
「やりがい搾取」なんて言葉もあるように、前向きな言葉は後ろ向きな言葉よりも妄想を生み出しやすく、それを正当化しやすいのです。
そんな背景を諦観も含めて書いたのが本作となります。
この作品は未熟な作品です。
言いたいこと、伝えたいことばかりが先行し、読みやすさ(文章の量というより脈絡)に難があるように感じます。
そう伝わらないかもと身構えていましたが、あじさい様をはじめ、きちんと伝わった方々がいることに喜びを感じております。