赤い白樺

赤い白樺の消失

固唾を飲むってどういう意味だろうか？

母親の反応はまさしくそんな感じでした。

全身を固くして、目は私の首を凝視して固定、口も一切聞かず只々じっとしていました。

話は少し戻しますと、首を切る前日に

「精神科へ行った方がいいかな？」

と思いたちまして、精神科へ行ってみたところ

「親を連れてきなさい。」

と。

いい年をした大人の私に親などもう関係ないとは思ったのですが……。

そこで、首を赤い白樺にしてから後、件の精神科に母親を連れて行き、私だけ診察室へ入ると、話もそこそこに

「首の傷はどうしましたか？」

と、聞かれました。

ちょっとそれには答えられなかったので黙っていると、母親を呼ばれました。

母親はそれまで私の首の傷に気が付かなかったのですが。

ここでようやく気が付き、固唾を飲んだわけです。

そして、こちらを伺っていました。

「親不孝とはこういう事なんだな」

と、その時初めて悟りましたね。

まあ、今でも十分に親不孝なのですが……。

今では首には傷など傍目からは見当たりませんし、肌は綺麗なもんです。

さすが安全カミソリ。

安全ですね。

しかし、真似してはいけませんよ。