第5話
「こちらモリア、中尉応答お願います。どうぞ」
「こちらリングトン。どうしたなにがあったモリア伍長? どうぞ」
「中尉こちらモリア伍長、報告します。東側の連邦のエンブレムが記された見たことのない物体がわが国の領空に侵入。超スピードで低空飛行していたためレーダーに映らず発見が遅れました。どうぞ」
「物体? なんだそれはどうぞ」
「……おそらく戦闘機のようなものです。どうぞ」
戦闘機?
リアムはうつむき考えを巡らせる。
――おかしい連邦軍の空の戦いで実戦されるのは魔力をエンジンにして飛行する特殊なアーマーだったはず、それが戦闘機のようなもの? 伍長が自信なく答えたのも気になるが普通に考えて戦闘機だったら戦闘機以外のものと見間違うか?
「中尉、聞こえますか? 応答を願います。どうぞ」
返答を催促されリアムは顔を上げる。
「すまない伍長……了解した。敵機に信号をおくれ、反応がなかったら宣戦布告とみなし撃墜しろ」
「御意」
考えがまとまらないまま撃墜指示を出したが、緊急事態には間違えない。
「アイザック、お前はもう帰れ」
「えっなんでだよ、リアム……おいちょっとまてって」
リアムとアイザックは走り出した。飛行場からすでに新型の戦闘機が三機飛び出していた。
「くそっなにが平和だ、貴重な休み時間を奪いやがって」
「そんなこといってる場合じゃないこれは一大事だぞ」
風が吹き始めて、同時に体に響くような重低音が聞こえた気がした。
「俺の知ってる戦闘機の音じゃない」
やまない音に焦りつつ空を仰ぐ。
「リアムあれはいったい?」
アイザックがそれに指をさした。
それは、見たことのないフォルムの戦闘機だった。くさび形のインテークのある平らな側面空気取り入れ口、双尾翼、薄い台形の低アスペクト比翼が装備されていてエンジン二基が胴体付近についている。
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