第90話 不浄の末端

「2日近く移動してるのにまだ不浄の地が見えないね」

「流石にそろそろ見つけたいんだけどな、まあ、遠ければ遠いだけ猶予があるって事だしいい事だよ」


 徐々に広がっているらしい不浄の地は未だに対抗策が見つかっていない。

 遠ければ遠いほど俺たちに与えられた時間は大きいということだ。


「しかし、もう勝てそうなモンスターが居なくなったな」

「そうだね、さっき見たのだとブラッドベアってモンスターがレベル??だったよ、表記すら見えないくらいレベルの差があるみたい」

「敵の感知範囲も結構広いみたいだからだいぶしんどくなってきたね」


 モンスターの近くを強行突破するなんてことが出来ないせいでかなり時間をかけながら進むしかなく。

 そろそろ潮時かもしれない。


「イオリくん、不味いよ」

「どうした?」

「スキルで見えたんだけど、色の抜け落ちたモンスターが居るんだよ」

「カメラ機能で姿を捉えられないか?」

「試してみる」


 カメラを使って最大までズームすると森を抜けた先の草原にかなりの大きさの狼?のようなモンスターが居た。

 全身が黒と白の2色しかなく奴の周りがどんどん不浄の地になっていく。


「やばいな」

「でも永続じゃないみたいだよ、一定の範囲内が不浄の地になってるんじゃないかな」

「戦ってみるか?」

「もうそろそろ限界だし、全然いいと思うよ」


 負け試合だがいずれ戦うかもしれない相手だ、初見殺しのケアくらいの気持ちで動画を撮りながら近ずいて行く。


「レイドか」

「やっぱりレイドモンスターだね」


 特殊なフィールドが展開され俺たちは死んだ。

 衝撃波だろうか? 何かが体を吹き抜けると視界が暗転し死亡ログが流れた。



「流石にもうちょっと何とかなると思ったんだけどね」

「強制即死って感じだったな、レベルがトリガーか?」

「ありそうだね、あの先になにかあるのかな」


 とりあえず掲示板にこの動画と可能な限りの情報を書き込んでデスペナの時間つぶしついでに王都の研究所に行ってみる事になった。


「カルハさんは居ますか?」

「こちらです」


 招待を見せてカルハさんが居るかを尋ねると見張りの騎士が案内してくれる。

 研究室ではカルハさんが大量の本と資料の山に囲まれていた。


「カルハさん」

「うぇ!? 開拓者さん!! わわ、すぐそっちに行きま、うわぁ!!」


 こっち来ようとしたカルハさんは大量の資料の雪崩に巻き込まれて転んでしまった。

 騎士が急いで駆け付けて資料の山からカルハさんを助け出すとこちらに慌てて駆け寄ってきた。


「お久しぶりです、お恥ずかしい所を……」

「いえいえ、実は見てもらいたいものがありまして」

「なんでしょうか」


 俺たちは不浄の地を纏う怪物の写真と戦闘映像を見せた。

 するとカルハさんの顔がみるみるうちに青ざめていき倒れた資料の中から1冊の本を取りだした。


 どうやらその狼の姿が伝承に残されているかつての邪神の13の下僕の一体に酷似しているらしい。


「邪神の手下がどうしてあんなところにいるんだ?」

「倒されたという文献が残っているので復活ということになるかと……まだ話を聞く限り完全には力を取り戻していないはず……時期を見て仕掛けるしかないでしょうね」


 カルハさんは国王にも話をしてくると言って研究室を後にした。

 俺も追加情報を掲示板に載せつつ、セナとは今日はもう解散することになった。



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 投稿遅れてすみません!


ラブコメ書きてぇな……

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