第88話 限界の景色を

「さて、出発しようか」

「うん!」


 出発前に成長した俺たちのステータスを確認する。


 イオリ Lv50


 HP 100/100

 MP 100/100

 STR 50

 VIT 10

 INT 100

 DEX 200

 AGI 140





 セナ Lv49


 HP 100/100

 MP 300/300

 STR 50

 VIT 10

 INT 120

 DEX 200

 AGI 100


 2人とも防御とHPに全くステータスを割り振らないのでこの先のモンスターの攻撃を喰らえば即お陀仏だろう。

 これももう慣れてきた物で正直単調なブラフなしの攻撃をまともに喰らうなんてことはないだろう。


 ノイマンさんが見せてくれたような色が抜け落ちた景色は全くない草原を駆け抜ける。

 見えるモンスターをフル無視で走り抜けながら時々休憩を挟んで軽食を摘む。


「随分走ったけどこれホントに不浄の地なんてあるのか?」

「聞いた話だとあるはずなんだけどね、かれこれ2時間くらい進んだよ?」


 プレイヤーの中でもかなり足が早い俺たちがモンスターを避けつつ最速で走り続けているのに景色の変化は先程超えてきた山が後ろにあるくらいである。


「うーん、イオリくんはまだ時間大丈夫だよね」

「大丈夫だよ、なんの予定もない」

「それなら大丈夫だね」

「「限界まで!!」」


 昔も確かレベル差があるモンスターがうようよいる所でこうして2人で走り回ったものだ。

 確か、深紅の森という場所でえげつないデバフを内包した物理攻撃を多用するモンスターだらけで当時は突破不可能とか言われてたんだっけ。


「あ、でもそろそろ夜が来るねどこか一夜を越せそうな安置を探そっか」

「流石に夜はモンスターを避けながら進むってのも厳しいからな」


 こうして始まった日が暮れるまでに安置を探すという緊急ミッション。

 目の前は草原に終わりが見え始め山々が連なっている。


「なかなか見つからないね」

「洞窟はいくつかあったけど中に高レベルのモンスターが多すぎるな」

「どうする? もうここで木にでも登ってお祈りキャンプする?」

「いや、もう少し探そう、木の上ならいつでも行けるしな」


 日が暮れ始めだんだんと視界が悪くなっていくあとすこしで夕日が完全に落ちるといったところでツタに覆われた祠らしきものを発見した。


「これ! 入れそうだよ!」

「これ英雄の遺跡じゃないか?」

「え?」

「前にも似たようなのを見たことがある」

「うーん、とりあえず入ってみようよ、少なくともモンスターよりは話が分かるはずだよ!」


 セナの言うことも一理ある英雄達は今の所、話が通じる人ばかりでもしかしたら1晩ここで過ごせるかもしれない。


「はいるぞ」

「うん」



 扉を開けるとVRの世界に入る時のような浮遊感が俺たちを襲い眩い光が俺たちを包み込んだ。

 光が収まるとだんだんと周りの様子がはっきりと見えてきた。


「畳?」

「え、ほんとだ」

「なんじゃ、お主ら畳を知っておるのか」

「「っ!?」」


 一面に畳がひかれた道場のような場所には先程まで人の姿は無かった、なのに幻かのように目の前に1人の女性が現れたのだ。


「ふーむ、お主らが開拓者という奴らかの」

「そうです」

「お主らどうやってここまで来た、ここいらのモンスターを倒せるほどお主たちは強くないであろう?」

「モンスターを避けて不浄の地を見に行く途中です」

「ふむ、不浄の地かあれをわざわざ見たいとはなかなか物好きよの」

「不浄の地を元に戻すために少しでも情報をかき集める必要があるので」


 そう俺が答えると目の前の女性は目を閉じ少し考え込むような仕草をする。


「今のお主らではこの先に行ったとて死んで終わりじゃよ、引き返すのじゃな」

「俺たちは死んでも失うものがないので大丈夫ですよ」

「ふむ、命を粗末にする行為にはあまり感心せんな……お主らが生き返るのもひとえに女神様のおかげあまり過信しすぎるでないぞ」

「それはどういう」

「いずれ分かる事じゃ、起こらぬ事が1番じゃからの気にするでない」


 意味ありげなことを言い残し話を強引に変えようとする目の前の女性には有無を言わせぬ覇気があった。

 今の言葉から推測するならいつか復活のできない戦いが訪れるかもしれないということくらいだろうか。


「さて、お主ら2人ともあまりにも貧弱だからのワシを満足させる手合わせをできたなら『空蝉』を教えてやろう報酬がハッキリして居ればやる気も起きるじゃろ?」


 空蝉……この遺跡の場所を考えるに難易度こそ想像を遥かに越えるものかも知れないがその分この報酬とやらには期待ができる。

 セナの方を見るとやりたい!やるよね?という無言の圧を感じたので答えは決まったようなものだ。


「「お願いします」」




 ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

 作者です

 ちょっとは執筆の感を取り戻したかも?

 新作が進まないぃぃぃ


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