第48話 デート
「よ、よぉし、じゃあ行こっか」
「お金も溜まったし防具仕立てに行こうか」
「そうだね、でもどこに行くの?」
「ノイマンさんに聞いて今フリーの鍛冶師を紹介して貰ったんだよ」
「流石、用意周到だね」
「確かこっち」
ノイマンさんから聞いた話では人柄も良く、生産の腕も間違いないのだが経営のセンスが絶望的に悪いらしい。
俺も最初は疑ったのだが露店を開いている場所を聞いて納得してしまった。
「ね、ねぇ、イオリくん?道あってる?」
「あってるらしいんだよ」
「う、うそぉ」
それもそのはず、賑やかな中央から大きく離れ路地を数回曲がった先の小さな広場に居るらしいのだ。
どこの隠れNPCだよというような居場所だが本人は隠れた凄腕鍛冶師という肩書きに憧れているらしく、へんぴな場所に店を開いているらしい。
「あ、あの人だよね?」
「た、多分」
「女の人だったんだ」
「みたいだな」
路地を進んだ先で見たのは剣を研いでいる女性だった。
路地にいることも相まってヤバい人にしか見えない。
「「あっ」」
「お、お、お、お客さんだぁぁぁぁぁぁ!!」
目が合ってしまった。
剣を地面に置くと猛スピードでこちらに走ってくる。
俺たちが呆気にとられている間に手を握り、ぶんぶんと縦に振るとキラキラとした目でこちらを見つめる。
「オーダーメイドで防具を作って欲しいんです」
「やっぱりお客さんだ!しかもオーダーメイド!?」
「はい、ノイマンさんの紹介で」
「おじいちゃんったら余計なお世話なのに、でも嬉しい!任せてどんな装備がいいの?」
俺たちは予め決めていた要望を伝える、凄い速度でメモを取る。
手が止まると今度は考えこむような表情をする、そしてまたメモに何かを書き出す。
「これ、集めてこれたりできるかな?」
ずらっと書かれたモンスターの素材を見る。
あったことのあるモンスターもいれば見たことの無いモンスターも居る。
「それがあれば要望通りで最高の装備が作れると思う、まだそんなにすごい素材で装備を作ったことはないんだけど多分とってもいいものができるよ」
「分かりました、集めてきますね」
「ありがとうっ!ホントは買ったりしてパッと作りたいんだけど、あいにくそんなにお金があるわけじゃないから………」
気まずそうな顔をしながら、俯く。
この一瞬でここまで要望のための素材を思いつけると言うのはかなり驚いた。
「いいんですよ、この素材を集め切るには時間がかかりそうですし、その間に1つおすすめのクエストがあるんですが受けませんか?」
「く、クエスト? 私戦えませんよ? 現実でも運動音痴でVRでも全く戦えなかったんです」
「いえ、鍛冶師限定のクエストなんですよ」
「そんなのがあるんですか!?」
両手を握られてグイッと顔を寄せられると美人なだけあって少しドキッとする。
セナに横腹をつつかれているのが地味に痛くて早くこの状況から脱したい。
「と、とりあえず自己紹介しましょうか」
「あ、私はネオンっていいます、鍛冶をメインにしてます」
「私はセナです、召喚士です」
「俺はイオリです、魔法と刀をよく使います」
「そ、それでクエストっていうのは?」
「知り合いの現地人の鍛冶師がいるんでけど、技術を教えれる鍛冶師を連れてこいっていうクエストですね」
「そ、それに私を連れていってくれると?」
「はい」
感極まったような表情をしてパタパタと喜びを表す姿には思わず笑ってしまいそうになる。
ここまで感情表現が豊かなひとは中々いないので見ていて楽しい。
「早速、行きましょうか」
「はいっ!」
「……」
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おや?セナの様子が……
朝投稿できなくてすみません、ごたついてて予約投稿もし忘れているというバカをやらかしました。
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