第38話
アップデートが終わって直ぐにログインしたかったのだが、大学には行かなければ行けないので泣く泣く帰ってきてからセトラにログインすることになった。
「ふぅ、ランキングの発表までには2時間くらい時間があるし、ギルドに行ったりして時間を潰そうかな」
視界にはHPやMPに加えて食料ゲージが追加されていた。
一定割合以下になると様々なデバフが襲ってくるらしい。
「セナもギルドに居るのか、さっさと合流するか」
「誰か串焼きを買いませんか〜、フォレストベアを使った串焼きでーす！」
空腹度が実装されるようになってから所々で見るようになった屋台で呼び込みをしている女の子が居た。
感覚系の設定をMAXにしているせいか匂いがダイレクトに俺の脳を刺激し、食欲が湧いてくる。
「その串焼き、5本、いや10本ください」
「おぉ、お兄さん気前いいね！はいよ！１マニね」
「はい、ちょうど」
「ありがとうございました〜」
こういうところでは感覚設定が高いと得ができる。
代わりに痛みや臭いや不味いなども伝わるので紙一重ではある。
それにしても屋台がかなり多いようだ。
料理が得意な人からすればこんなマニの稼げる一大イベントを逃すわけはないだろう。
先程の串焼き屋さんにはちょくちょく人が並び始めているので激戦を制した人は一気にお金を稼げる気がする。
「うぉ、おいひぃ」
「イオリくん？遅いと思ったら1人で食べ歩き？」
「セナの分もあるよ」
おぞましいオーラが一瞬見えたような気がするが買っておいた串焼きを半分渡すといつもの穏やかなオーラに戻ってくれた。
あそこでセナの分を買うことを閃いた俺には拍手を贈りたい気分だ。
「さっすが〜、んふ、美味し〜」
ギルドの隅の方に移動して串焼きを頬張っているとギルマスと目が合った。
後で来いというような手招きをするとまた何かを考え込むような仕草をし始めた。
「ギルマスに挨拶に行こうか」
「んぐぅ、フゥ、わかった〜」
ギルマスはどこか疲れたような、気だるげな雰囲気を纏っていた。
「あぁ、イオリくんと……名前を聞いていなかったね」
「セナと言います」
「そうか、セナくん、君達に頼みたいことがある」
ギルマスの話をまとめるとこうだ。
先日逃亡した怪物の行方を掴んだ。
怪物は徐々に回復していっているようで討伐をしてここで決着をつけたいのだがギルマスがこの街を空けて外に行くというのは現状街の人たちを不安にするからやめてくれと職員たちに止められた。
放置して強くなられれば確実に街に甚大な被害をもたらすことになるから何とか討伐もしくは継続的に体力を削りたいということらしい。
「そこでだ、君達に討伐を頼みたい」
「無理だと思いますよ、俺たちじゃ太刀打ち出来なかった」
「いや、他にも10数人声をかけている、勝ってこいとは言わないとにかくやつが回復し切るのを阻止して欲しい」
セナの方を向くとこちらを見てやる気満々！と言ったような表情をしていた。
「それなら、俺達も引き受けますよ」
「助かる、後日詳細と他メンバーとの顔合わせを行う、そこで上手く開拓者同士で団結して欲しい」
「「分かりました」」
おそらくの予想だが、このレイドに呼ばれる人の基準はランキングだろう。
あと数分でランキングが公開されるのだ、あのクエストを受けれるかどうかがランキングによって決まっていそうだ。
「面白そうだね」
「レイドを依頼されるとは思ってもなかったよ」
大方もう一度イベントで開拓者たちが全員で戦ったりするのかと思っていたのだがランキング上位勢がクエストを独占できるというのはゲーム好きからするとランキングを目指す理由が1つ増えた気分だ。
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投稿できてないことに気づかず寝てました……
この時間に投稿するのもなぁと思ったので(2024/05/02 00:23:18)
少し余裕を作るためにお休み期間だったことにしてください……
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