ダンジョンでアイスは食べたくない

八木寅

第1話

 勇者(自称)のオレには三分以内にやらなければならないことがあった。それはアイスを食べること……なんてあるのか?ダンジョンで。

 最後の部屋。カチコチのカップアイスを三分で食べきれば、攻略できるらしいけど……、カチコチすぎる。

「食べ始めたらカウント開始だったら、溶けるまで待って食べるのに」

 スプーンで表面をコツコツして、一分は経った。いまだ固すぎて、スプーンははいらない。

「まあ、仕方ないですね。ここにあるのは、伝説の新幹線アイス。カチコチすぎる伝説のアイスがあるとは、さすがダンジョンらしい伝説さですね」

 と、悠長に語るのは賢者役のケント。博識なパーティは文字の解読や仕掛けを見破ってくれるからありがたいけど、今は正直、うるさいだけだ。てか……。

「アイスの説明はいいからさ、このカチコチをどうにかする方法知らない?」

「なくはないが……」

 スプーンの先が少しだけはいった。アイスをなめる。おいしい。牧場で牛がほほえんでるのが見えるようだ……って、味わってる場合でもないし、ケントの答えを早く聞きたいのだけど。

「なあ、早く教えろよ」

 なんとか二口目をすくう。

「スプーンなど使わず、口に含んだらどうですか。口にはいれば、クリアになるでしょ。ただし、口内やお腹が痛くなりそうですけど」

「たしかにそれは」

 やめとくと言いたかった。でも、カップは奪われた。剣豪のリキに。

 彼女は力はあるし、素早い。その能力は敵を倒すために使ってほしいものだ。その力は、カップをさん奪して、食べやすくカットするためにあるわけではないはずだよね?

「さっさと食べろ」

 リキは力任せにアイスを、オレの口につっこみだした。美女が勇者にあーんをしている光景は、普通ならば絵になるところだろう。オレは涙を流した。

「まっめうへ」

 待ってくれ。とも言わせてもらえない。

 なんでだよ。なんで勇者だからって食べないといけないんだよ。オレ自称だよ?


 三分。じいちゃんが手を振

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