私が最強の陰陽師だが、それは秘密にしている
都城 文月
第1話
よく夢を見る。
どう見ても平安時代のやんごとない人々が暮らしている時代の夢だ。
女なのに、とにかくあの十二単衣とかいうゲロ重い着物が大嫌いで、髪が長いと美人と言われる時代に腰の辺りでバッサリ切り落とし、ポニーテールにして男物の着物を着るような姫だった。
そして安倍晴明という稀代の天才がいるが、間違いなく私のほうが強い自信があった。
でも、力比べしたいと思いながら私は17歳というピチピチの年齢で命を落とす。
父親がしくじりやがって、当時の帝の野郎の不興を買い、家族諸共自害に追いやられたのだ。
これから天才女陰陽師として売り出すつもりだったのに。
そして私はその記憶と霊力を持ったままこの現代に生まれ変わった。この時代は医療が発達しているから、子供が小さい頃に命を落とす確率は平安時代と比べものにならない。私はすくすくと育ち、いまはあの時と同じ17歳になった。だがしかし!この時代に安倍晴明はいない。
テレビでは陰陽師とか名乗ってる人間が何人か出ているが、はっきり言ってどいつも私の敵じゃない。
いや別に敵対するつもりはないが。
そして何より陰陽師って職業がない!
これではどんな強い霊力があっても食っていけないではないか。
平安時代の親父のせいで···本当に世渡りが下手な親を持つと子供は苦労する。
あの親父に会えたら、九字切って吹き飛ばしてやりたいぐらいだ。
だから、私は霊力を隠したまま生活している。
まあ、あの十二単衣を無理矢理着せようとする侍女たちがいないだけマシだろう。
この時代は髪を短くしても文句を言われることもない。
そういう点ではパラダイスではある。
でも人が居れば怨霊はやっぱりいるわけで、私はひっそりと今日も強い怨霊と楽しく戯れ、消滅させているのである。
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