超絶イケメンの幼馴染が超絶可愛い美少女になった話
コーラ
プロローグ
放課後それは学生が1番好きな時間だろう。
部活に費やすもよし、友達と遊ぶのだっていい。はたまた恋人とデート? 家族との時間を大事に過ごしてもいいだろう。
かくいう俺も放課後は好きだ。家に帰ればゲームが出来る。それに今日は特別だ。ドラゴンファンタジー6の発売日なのだ。
すでに学校を出る前にダウンロードを始めている。家に帰ればダウンロードは終了しているだろう。
早く帰るためにカバンに筆記用具などをしまっているとクラスが騒がしくなってきた。
みんな放課後という事で浮かれているのだろう。
「誠くーん! 今日の放課後遊ばない? 今日はサッカー部休みなんでしょ?」
「おっ、それいいな! 誠、今日遊ぼうぜ」
「カラオケ行く?」
一際目立つのは男女5人のグループだ。普段からうるさいグループだが、今日は特にうるさい。
「はは、悪い。今日は用事があってさ」
そしてその中心で最も輝いている金髪高身長にプラスでハーフのイケメン、西園寺誠は困ったように頬を掻いてウィンクをしながら謝罪する。
そしてその姿に一緒にいた女子、いやクラスの女子達が顔をぽっとさせた。
「……相変わらずなんて破壊力だよ」
同じ男子として腹が立つ気持ちはあるが、あれと俺では生物としての出来が違いすぎる。
スポーツ万能、学校一のモテ男と自分を比べるほど馬鹿らしいことはない。上には上がいるものだ。人を気にしすぎるから嫌な思いをするだけでそんな事をしなければ最初から嫌な思いをする事はない。
「って、早く帰ろう」
俺は鞄を持って教室の出入り口から出ようとするが、俺の足は止まった。
「誠くん。迎えに来たわ」
ちょうど俺が出ようとしたところに黒髪ロングで少し吊り目気味の美少女が立ち塞がった。
彼女の名前は日向千尋。この高校の生徒会長でテストでは常に一位で全て100点らしい。
「あっ、もう来たんだ! じゃあみんなまた明日学校でな!」
そして2人は付き合っている。学校では有名で美男美女のお似合いカップルだ。
「あれ? 冬馬も今から帰るのか?」
ちょうど西園寺と日向の間に居たせいで西園寺が俺に気づいたらしい。
「お、おう」
突然話しかけられて少し挙動不審になってしまった。
「へー、千尋と今から俺んちに帰る予定なんだけど一緒に帰ろうぜ!」
「は?」
クラス全員がその言葉に目を点にした。もちろん俺も目を点にした。
「いいんじゃんよ! お前に千尋の事紹介してなかったしいい機会だろ?」
「……あー。俺の事はいいから2人で帰れって。日向さんも困ってるだろ?」
彼氏との帰り道に知らない男が追加されるって気まずいだろ。つか俺が気まずい。話す事なんて何もないぞ。
「私は大丈夫よ。……でも貴方の方が困るでしょう。急に紹介なんて言われても」
なるほど、日向さんは自分は全然いいですよ。感を出しつつ俺に断らせるつもりだな。
だって目がすごい細くなってるもん。
話を合わせろってことか。だが良いだろう。乗ってやろう。
「そうだよ。カップルと一緒に帰るとかそれなんて地獄だよ」
「つってもお前んち、俺んちの横じゃん」
そうだった……俺、こいつと幼馴染だった。
「えぇぇぇ!?!?」
そしてクラスのみんなが驚いた。日向さんも目を大きく開けて驚いているようだ。
そんな驚くことなんですかね?
「……で、改めまして! この人が俺の彼女、日向千尋です!」
結局西園寺の勢いに任されて一緒に帰ることになってしまった……
まあ家が隣だから帰り道は一緒だし、帰る途中に会うよりかはこっちの方が気まずくないか……
「日向千尋よ。生徒会長をしているわ。よろしくね」
少しの笑みを浮かべて自己紹介をしてくれた。
「あっ、どうも。平冬馬です。よろしくお願いします」
「いやー、冬馬にも紹介したかったんだけどさー。あまり話せる機会が無くて悪かったな」
「べつにいいよ……」
そりゃないだろうな。お前の周り常に人がいるもん。
ってか家が隣だからってここまでしなくてもいいのに。昔から西園寺はお節介だ。頼んでもないのに俺の交友関係を広げる為に西園寺の友達を紹介してくれたりしてくれていた。
話が合う奴がいなかったせいで、紹介してくれたのにそれ以上会う事はなかったけど……俺ってもしかしてコミュ障なのかな? 多分そうなのだろう。
今回のも彼女の自慢とかでは無く純粋に紹介してくれているのだろう。
小さい頃から見ているとそれくらいは分かる。イケメンのくせに内面までいい完璧超人それが西園寺誠だ。
「ところで2人は幼馴染という奴なのかしら?」
「あぁ! 冬馬とは3歳からの仲だぜ!」
まあ一応そうなるな。
「へー、なら昔の誠くんがどんな感じだったか聞いてもいいかしら?」
「ちょ、恥ずかしいからやめてくれよ! 冬馬も話すことないからな!」
「いいじゃない。可愛かった頃の誠くん気になるもの」
「たくっ、冬馬! 話してもいいけどあの話だけはするなよ」
俺は何を見せつけられているんだ。
そしてあの話というのは幼稚園の頃西園寺がおねしょした時の話だろう。
「あの話……?」
「……話すって言っても別に今と変わらないだろ。西園寺は」
「じゃあ昔からサッカーが上手かったのかしら?」
「うん。昔からサッカーというかスポーツ全般得意で運動神経が……」
それから俺は日向さんが質問してきたことに答えていくのだった。
「おーい、お前らもう家に着くぞ」
西園寺の声が聞こえると大きな家が見えてきた。
あれは西園寺の実家だ。イケメンで実家が金持ちって無敵かよ。
そして俺の家はその横にある普通のサイズの家だ。
「そう。ありがとう。今日はとても面白い話が聞けたわ」
そして日向さんはどれだけ西園寺の事が好きなんだよ。道中ずっと質問攻めにされたせいで喉が痛くなってきた。
これも普段喋らないせいか?
「うん。じゃあ俺はこれで」
「あっ、俺と千尋でこれから勉強会するんだけど冬馬も来るか?」
別れて家に帰ろうとすると西園寺はそんな事を言ってきた。
いや、お前彼女との時間大切にしろよ。また日向さんの目つきが鋭くなってるし。
「ドラファンするからパスで」
断るに決まっている。仮に日向さんの圧がなくてもカップルの間に入って勉強なんてできる気がしない。
「そっか……じゃあまた明日な!」
「また明日」
2人が手を振ってきた。
こういう時はどう返すのが正解なんだ? 手を振るって恥ずかしいし……
「……おう」
俺は悩んだ末に頷いてから帰るのだった。
だが、西園寺とのこの約束が守られる事がなかった。西園寺が次の日から行方不明になったからだ。
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