少年と灰
久保 心
第1話 月光
月光が降り注ぐその村では人々がそこかしこで余すことなく宴会を催している。地元の店には酔いつぶれて店員に迷惑をかけるほどに泥酔している客や、片手にカップ酒を持ちながら歌う老人、皆、一同幸せそうに日常を過ごしている。
そんな賑わいが絶えない村の中に、小川の傍に腰かけて、月を見ている少年がいた。また、その少年を見ている月もいた。その少年は左手にギブスを巻いて、目の中の水分を意図的に輝かすかのように凝視している。一見、傍から見ると、月と少年はまるで共鳴しているかのように、何か神秘的な物に遭遇した時のような、理性では認識できない、そんな感情を催してしまう程に幻想的で、また哀愁を感じさせるような感覚がそこにはあった。
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