第14話 ニンゲン嫌いな小説書きが対人援助を職業にした話
第一にニンゲンはあくまで生物である。
このことだけはしっかり明言しようと思います。
“元”保育士(公表済み)の私ですが、勤め先の園ではよく
「2歳児までは宇宙人」
と言われました。この言葉がどうも嫌いでした。
子どもを知らない人のイメージとして、
「いうことを聞かない」
というのを耳にします。例えば、〇〇しちゃダメ。という言葉を理解しこころに留めておけるのは基本3歳児以上の話になります(例外あり)。脳の構造上、発育、発達上仕方がないことです。それを守る役割なのがお父さん、お母さん。その他養育者。つまりお義父さんお義母さんなどの保育者です。しかし、「2歳児までは宇宙人」という言葉は言い換えれば「いうことを聞かない」という意味になります。宇宙人だからよく見ておきなさい。見守りなさい。
保育士はあくまで“預かる”のが仕事であり子どものレベルアップをさせるプロではありません。集団生活の中で子どものレベルが上がるのを報告したり、ときにはその経験からアドバイスをしたりとサポートなのです。
散々我流の保育士を語ったところで本題に参りましょう。
私はニンゲンが嫌いです。
はっきり明記してしまいます。苦手ですから。目をみて話す?無理です。相手に合わせて話しをしやすい雰囲気…。そんなことなら話さなければいいじゃない。
基本は全てが大義な私ですが、なんと保育士を辞めた今も対人援助職についています。不思議。
ときには目を見て話し、ときには笑顔で雰囲気をやわらげ話します。
ではなぜそんなことができたのか。
それは目を見ているからです。保育士時代に培った経験が今にいきています。
今の職の名前ははっきり言えませんが、体感として精神疾患を持っている方が多い気がします。お医者さまから診断されている方、はっきりしない方含め。その方たちは確実に目が違います。経験の話なので言語化が難しい限りですが、明らかに職場の先輩とは違う目なのです。塩と砂糖くらい違います。
イライラすると私たち働く人に当たります。家族さんにも当たります。(不穏と呼ばれています)そういうときは目を見て話すのです。
「今日なんかよくないことでもありましたか?」
「今日はね、なんかお腹が良くないのでね、お薬をもらったんですよ。でも良くならなくてね。」
捏造ですがこういったニュアンスでお話しされます。このままでは会話が途切れてしまう。ではどうするか。
「お薬をもらったんですか?」
「はい。食後のお薬で咳止めの薬だよって渡されましたよ。ここの人に。変だなーと思ったけど飲んだんですよ。でと全然よくならないんです。」
「それは大変でしたね」
「はい。だから今からベッドに横になって願掛けしようと思ってました」
「願掛け?」
「私はね、〇〇の家系の生まれだからこういうことができるんですよ。あとはこういう聖書を持っていてこーんな厚い本ですよ?これをね、ずっと読んでいたので…」
まずは話を逸らしつつ本人さまにたくさん話してもらいます。意味のない会話でもいいのです。ただ話すだけでもストレス解消の一環になるので。こんな調子で話していくと落ち着くタイミングがきます。ひと通り話すとみなさんにっこりされています。
「私そろそろ行きますね」
と言うと
「また教えてあげるからね」
なんて言って手を振ってくれます。
ニンゲンは言葉を話すことができます。それが私にとっては苦痛でした。ぼやーっと見上げ鳴くカラスを見て「端的でいいな」と思う日々でした。でも、言葉を発するって体力を使うことだなと気づいたんです。元々今の職業も嫌々でした。仕方なく働いてあっちこっち振り回されて。関わり方ひとつで仕事が楽になることを覚えたんです。割と「薄情」だと言われることも多いですが仕事なのでこれくらいでいいと思います。
あとは資格。あると楽です。給料もちょい割り増ししてくれるんで得してる気分です。
えー総括すると
私は元々ニンゲンが嫌いでした。働いてからなお嫌いになりました。今も無理です。
でも、自分なりに楽になる方法を見つけてたまたま資格も取っていて。
つまりは経験です。少しでもいいのでやってみるといいと思います。ちな、保育士は一年未満で辞めてます。
ニンゲン生き物なので良いことをされると気分が良くなります。そういうもんなので上手く利用して生きましょう。
…と、自分に言い聞かせてがんばります。
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