buffalo
バッファロー氏には3分以内にやらなければならない事があった。
いや、バッファロー氏には3分ほどの猶予すらもない。
それぐらいの状況に迫られているわけだ。
ジャパンのカップ麺が出来上がる前に、彼は全てを破壊しながら突き進むバッファローに殺される。
そういうデスゲームに彼は呑まれていた。
「こんなの……ゲームとして成り立つ訳が無いではないか!!」
“ただ、特定の一言を当てる”という単純でありながら難解なゲーム。
その理不尽さを彼は痛感していた。
残り20秒。
しかし、適当な言葉を吐いてもハズレのブザー音ばかりが鳴り響く。
もう、なにも浮かばない。
詰んでしまったバッファロー氏は書斎のテーブルから紙とペンを出して、何かを書き、そして何をとち狂ったのか家の外へと走り出した。
おそらくデスゲームの範囲は部屋の中限定。
外に出て仕舞えば、効力が効かないと思ったのだろう。
だが、それが彼の誤算だった。
部屋の中で轢死すれば不可解な事件として後世に残るものを彼は外へと出てしまったのだ。
一つ、勘違いしないで欲しいのはバッファローは確かに全てを破壊しながら突き進んだ。
建物も車も電柱も家も
だが、バッファローは“その群体が存在したという証拠”も同時に破壊している。
つまりは——
“全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れ”はバッファロー氏にしか見えない。
彼以外の誰も“全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れ”を知らず、認識も出来ない。
結果的に彼はバッファローに轢かれた。
家の目の前の道路から全てを破壊しながら突き進む“幻惑の闘牛”の群れがバッファロー氏に向かって。
バッファローに踏まれ各部の骨は粉砕した。
骨の砕けたまま、肉が潰れていく中、バッファロー氏の意識はゆっくりと薄らぐ。
だが、彼は一つ。誰かに真相を伝えたいと願った。
机の上に遺した
「
幻惑の闘牛 -Buffalo Buffalo- 恥目司 @hajimetsukasa
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
俺の親がアルバムでムカデを潰した/恥目司
★0 エッセイ・ノンフィクション 完結済 1話
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます