俺の異世界転生の特典が妹ってどういうことだよ!!
人類無敵
プロローグ 転生ってどういうことだよ。
うん……現状を把握しよう。
あたり一面真っ白の空間、これは証明で照らされているわけではないようだ、室内なのに頭上に太陽があるかのような神々しさ。
そして俺の体面に座る女性、俺が今まで見た中で別次元の美しさ、本当に同じ人間なのだろうかと、疑ってしまう。
金色の絹のように綺麗な長い髪に、高い鼻筋に吸い込まれそうになる程の瞳に長い睫毛、これは美少女を超えて女神様なのではないかと勘違いしてしまいそうだ。
膝まである白のワンピースには、金の刺繍が施されており、露出度も高い、男女問 わずに目がいってしまうスタイルの良さ。童貞の俺には刺激が強い。
果たしてこれは夢なのか?それとも………
一人で考えこんでいると、終始笑顔でいる女性が口を開く。
「よくまぁ、私を前にして長々と考えこめるものですわね。まずは、私に話しかけるもんじゃないの?」
見た目に反して声は、幼いんだな。ギャップ萌えってやつか。確かにこの状況で話しかけないのはおかしいか、しかし、話しかけないのではなく、話しかけるのに躊躇してしまっただけだ。
俺はあまり女性に対する免疫がないからな。まぁ一応身内に女性(妹)はいたが、あれは例外だ。あれを女性としてみた事はない。
うーん、そろそろ話しかけないと、目の前の女性の眉間がどんどん寄せていく。
俺は勇気を振り絞り話しかける事にした。
「え、えーと、すぅー、何で俺はここに?」
「ようやく口を開けたと思ったら緊張してるわね。まぁ、私程の絶世の美女を目の前にしたらそうなるのも不思議じゃないか」
何だこいつ……、自分が可愛いと自覚しているタイプか、そういう奴は女性の中でも一番厄介な類だし、無駄にプライドが高いからあまり関わらないのが得策だな。
「光栄に思うのね、あなたは私が担当しますから」
「とりま、チェンジで」
「あんた女神を舐めてんの?チェンジなんてできるわけないでしょ、今までいろんな転生者を相手にしてきたけど、そんな事言われたのはあなたが初よ。早見ナツキくん」
何で俺の名前を知ってるんだ?つうか、女神?転生者?何のこと言ってるんだ?
俺の反応に、少しにやける自称女神は、椅子から徐に立ち上がり、また椅子に座る。
何でこいつ今立ったんだ?
「あなたは死んだのよ、残念な事にね」
「は、はい?」
死んだ?何で、原因は?ってことはここ天国的な?
「自分の死因は覚えているかしら?」
「え、えーと、多分子猫を助けた時に……そうだ、木から滑り落ちたんだ」
思い出した、俺は、5メートルある木の頂上から下りれなくなった子猫を助けようとして上ったのだが、その子猫に頭を踏まれて、足を滑らせてそのまま落ちたんだ。まさか死因がそれって……恥ずかしいな。
「あー違うわよ、あなたは確かに木から落ちたけど、死因はその後よ、あなたが倒れ込んでいることに自転車をこいだ小学生たちが気付かずに轢いたのよ」
「え、ってことは俺の死因はチャリに轢かれたこと?」
「いや、それについては問題なかったんだけど、その後に、気を失ってそのまま脱水症状で救急車に運ばれたのよ」
「じゃ……脱水で?」
「いや、あんたの死因は、神の不手際で本来その日に亡くなるはずだったあなたと同じ病室のお爺さんとあなたの魂を間違えて天界におくっちゃったのよ」
間が空く、予想外の言葉で理解するのに数秒かかってしまった。
ん?間違って天界に送った?……ん?ってことは
「俺の死因はあんたらの不手際?」
目を横に逸らし、タラタラと汗を流す自称女神は、俺にさえ聞こえるか微妙な声で呟いた。
「……ごめん」
「このアバズレ!!!何してくれとんじゃー!まだ童貞も卒業してなかったって言うのに!」
勢いよく椅子から立ち上がり、自称女神の前まで前進する。
「ひぃー!ちょっと何、あなたキレると人が変わるタイプ?そんな私に怒ったって、しょうがないわよ、悪いのは死神であって私じゃないわよ!」
このぉおんな!開き直りやがった。死神だろが、何だろうが同じ神だろうが、連帯責任じゃボケ。
神の不手際なら救済処置ぐらいは用意しているはずだろうな?
「そっちの不手際なら、俺を元の世界に戻してくれんだよな?」
「あっ……えーとそれは出来なくて……あなたの生命力はお隣のお爺さんに譲渡してしまったから、もう無理なのよ……ドンマイ」
「はぁ!?譲渡?はぁ?」
「でも凄いわよ!あのお爺さんずっと寝たっきりだったのに、今はもう、病院の外をランニングしてるもの!あのお爺さん150歳は余裕で生きられるわよ!良かったじゃない、あなたのおかげでギネス更新よ」
この自称女神、頭湧いてんのか?よくまぁ、キレてる相手の前で冗談いえるな。こいつどんだけ図太い神経してんだよ。
「じゃあ俺はこれからどうすんだよ!天国にでも行くのかよ」
「え?天国?まじで言ってんの?そんなのあるわけないじゃない、あなた今年で17歳でしょ?まさかサンタさんを信じてるタイプ?うわー可愛い~」
あれ?何こいつ、めちゃくちゃ煽ってくるやん、この空間自体が非現実的だってのに、俺ってこいつらのせいでここにいるんだよな?なのに何この態度。可愛いからって調子乗りやがって、今すぐにでもひん剥いてやろうか?
「まぁ冗談はこの辺にして、本題に入るわね。あなたには別の世界に今の体と記憶を持って転移してもらうの」
「別の世界?」
「そうよ、現世では彼女も出来ず、童貞のまま死んでいったあなたが可哀想だから、次の世界では充実してほしいのよ。その世界は、科学があまり発展してはいないけれど、魔法が使えるの、そう、剣と魔法の世界 ユラティカンセスにね!」
「ユラ、え、何?」
「ユラティカンセス!神が創り上げた最初の世界よ!」
おお!よくわからんが、これは異世界転移もののライトノベルと同じような展開だぞ。少し楽しみになってしまったじゃないか。これが救済処置という事か?それとも俺だけ特別的な?
「この世界には、地球で若くして亡くなった者達を片っ端から放り投げているから、すぐに同郷の者と会えるわよ」
何だよ、俺だけ特別じゃないのかよ。しかしまぁ、知らない土地にいきなり一人ってのも心寂しいもんだ。日本人っぽい奴がいればそれとなく仲良くしといてもいいかもしれない。
「というか、何でそんな事してんの?」
「あーまぁ、色々あってね。このユラティカンセスは元々平和な世界だったのだけど、ある邪神が悪戯に魔王なんて言う存在をかなり昔に生み出しちゃったわけ、それで人間が沢山死んじゃってね、だからあなた達に力を与えて討伐してきてほしいの」
この自称女神、もうすっかり砕けた口調になってやがる、完全に俺を舐め腐っていんな。まぁ話を聞く分だとよくある設定だな。王道中の王道。そうかそうか、なるほどな、そして今から何かしらのチートを授かって、そのユラ何とかっていう世界で無双していくわけだ。最高じゃねぇーか。
「あ、でもあなたには別に何も期待していないわ、魔王は別の人に任させてあなたは、のんびりと暮らすことね~、スローライフってやつかしら」
何なの、こいつ、まじで蹴り飛ばしてやろーか?
ま、まぁこの自称女神の言い分もわかる。現世の俺は特に運動が出来るわけでもないし、中肉中背むしろ、すこし痩せている方だ。ちょっと前に不良に腹パンされただけで1週間学校を休んだぐらいだしな。
そんな俺なんかに期待していないのも当然か。それでもやはり男はロマンを求めるもんだろ。
「それでどんなチートをくれんの?」
「おお!よく聞いてくれたわね!あなたにはとーておきの、特典を用意しているわ!」
「スキルとかではなくて物か何かなのか?」
「これさえあれば、あなたは無敵よ!」
「で、その特典はどこにあんの?」
「ウフフ、それは現地に着いてからのお楽しみよ、このおませさん」
何かいちいち腹立つ野郎だな。
「というか今更だけどあなたって女神……だっけ?」
「あら?そういえば自己紹介がまだだったわね、私は愛を司る女神!リーベよ!ひれ伏しなさい!」
「へー愛ね~」
「反応薄!ま、まぁいいわ、とにかく、これからあなたを転移させるから、とりあえず新米冒険者が集まる街ファーストに送るから、そこ動かないで頂戴ね」
すると、リーベは椅子から立ち上がり、左掌を床にかざすと、どこからともなく光の杖が現れた。
「え、ちょっと待ってもう、行くの?もっと何か、説明とかないの?」
「それなら大丈夫よ、あなただけには、私が付きっきりで念話でアドバイスを送るわ。わからないことがあれば、OKリーベ様と呼びなさい」
めっちゃ地球のテクノロジーに染まってるな。この自称女神。
すると自称女神が光の杖を掲げると俺の足元に金色の魔法陣が現れる。その魔法陣からは光輝く綿がプカプカと大量に浮かぶ。
突然の事で、驚いてしまった。
何これ?魔法的な?
「お、おお!」
「あなたなら、魔王を倒さなくともきっと次の世界で何かしらの革命を起こせるでしょう多分……きっと?いや、無理か」
「おい!大事なセリフだろうが、真剣にやりやがれ!この痴女!」
「誰が痴女ですって!もうとにかく、あなたの幸運と平和を願っております!それでは!行ってらっしゃい!!」
そうして全身光に包まれ、痛みはないが細胞レベルで体が分子化しているように感じた。
神様の手違いと言えど、剣と魔法の世界、悪くないな。
俺の主人公ムーブがようやく始まるんだ。
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