第71話 義兄弟は大好き
「────はぁ、落ち着いたぁ、やっぱりお兄ちゃんのことをしばらくの間抱きしめてると落ち着くよね〜」
あれから、結局結深が落ち着くまでに十分ほどの間俺と結深はイチャイチャすることとなった。
が、ようやく落ち着いたらしい結深が俺から離れながらそう言うと、香織は自らの両手を一度合わせて、パチンと音を鳴らしてから言った。
「はいっ!じゃあ、改めて私たちが義兄弟になる上で、誰がお兄ちゃんで誰がお姉ちゃんなのかをまとめるよ」
「あぁ」
「は〜い」
俺と結深が香織の言葉にそれぞれ頷きながらそう言うと、香織は話し始めた。
「まず、一番上のお姉ちゃんが私ね」
「は〜い!お姉ちゃん!」
結深は、今まで香りのことを「観雫さん」と呼んでいたのを一新して、お姉ちゃんと呼んだ。
俺もそれには納得するほかないので、結深に続けて「わかった」と返事をした。
……同年齢でどちらが兄でどちらが兄かを決める上で、俺の方が弟という扱いになってしまったのは少し悔しさはあるものの、こうして今もまとめ役をしてくれているところを見てみるとやはりそれが妥当なのかも知れないと思わせられてしまうため、もはや納得するしかない。
俺が頭の中でそんなことを考えていると、香織は俺の方を見て言った。
「で、次が一入だね」
それに続けて、結深も俺の方を見て元気な声で言った。
「お兄ちゃん!!」
結深にお兄ちゃんと呼ばれているのは慣れているが、今後香織から弟扱いされることがあればその時にどうするかが少し考えものだな。
……それはそれとして、俺は少し気になったことがあったため、そのことを香織に聞いてみることにした。
「香織は、俺のことを名前で呼ばないのか?」
「……え?」
俺がそう聞くと、観雫はどこか不意を突かれたように困惑していたため、俺はその問を説明するように言う。
「別にどちらでも構わないが、兄弟なのに苗字で呼ぶっていうのは違和感が無いか?」
「それは、確かに……」
そう呟くと、香織は頬を赤く染めながら言った。
「も、もうちょっとしたら一入のこと下の名前で呼ぶから!もうちょっとだけ待って!」
「わかった」
俺のことを下の名前で呼ぶのにも、心構えが居るのだろう。
当然、俺にそれを無理に急かすような権利は無いし、そんなことをする気も無いため、その香織の言葉に頷く。
香織は一度軽く咳払いをしてから言った。
「それで、最後に結深ちゃん」
香織がそう言って結深の方を向くと、結深は香織と目を合わせて明るい表情で言った。
「お姉ちゃん!一緒にお兄ちゃんのこと愛してあげようね!」
「うん、そうだね……一緒に愛していこう────私は、お姉ちゃんとしてちゃんと結深ちゃんのことも」
「お姉ちゃん……!私も、お姉ちゃんのこと愛してあげる!」
そう言って、二人はとても楽しそうに笑った。
……本当に、仲の良い兄弟だ。
俺はそんな二人のことを見ていると────愛おしくなって、二人のことを一緒に抱きしめてしまった。
「お、お兄ちゃん!?」
「い、一入……?」
突然抱きしめられたことに驚いていた様子の二人だったが、二人は顔を見合わせると同時に俺のことを抱きしめてきた。
「お兄ちゃん、お兄ちゃん大好き!」
「一入、私も一入のこと────ううん」
香織は自分の言葉を否定するように首を横に振ってそう言うと、続けて言った。
「私も────
俺の下の名前を呼ぶと、香織はさらに強く俺のことを抱きしめた。
……あぁ────下の名前で呼ばれると、確かに来るものがあるな。
そして、香織に呼応するように、結深も俺のことをさらに強く抱きしめる。
本当に……もう立派な兄弟だな────俺はそんな二人のことを一生愛して生きていくことを胸に誓い、さらに強く、そして優しく二人のことを抱きしめて言った。
「結深、香織、俺も二人のことが……大好きだ」
────こうして、俺たち三人の愛に満ちた幸せな生活が始まった。
◇
この作品は、この話を持って最終話となります!
作者がこの作品に抱いている気持ちなどは、次エピソードで19時30分に投稿されるあとがきとして語らせていただこうと思いますので、ここでは手短に。
俺のタイプ過ぎる美人義妹が「結婚したい」と毎日迫ってきていてとても困っている〜義妹が妹であることを利用して、好き放題誘惑してくるんだが!?〜という作品をこの最終話まで読んでいただいた方々、いいねや☆、コメントをくださった方々、本当にありがとうございました!
この物語を最後まで読んでくださったあなたのこの物語に対する感想をいいねや☆、コメントや感想レビューなどで教えてくださると幸いです!
また次エピソードに投稿されるあとがきや、別作品でお会いできることを楽しみにしています!
この作品を最後まで応援していただき、本当にありがとうございました!
◇
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます