凍結 少年と爆弾魔 連載版
赤ぬこ むぎ猫
プロローグ 少年と爆弾魔
少年には三分以内にやらなければならないことがあった。
少年が今居るビルに仕掛けられた爆弾を解体しなければないからだ。
このビルに仕掛けられた爆弾を解体しているのは解体経験豊富な一般人の少年
そして周りにいるのは爆発物処理班でも、偶然居合わせた哀れな犠牲者でもなく
なぜかこの場に居るこの爆弾を仕掛けた爆弾魔だけだ。
そしてその爆弾魔は人が集中して爆弾を解体しようとしているのにちょくちょく意味があるのかわからないよくわからない単語をつぶやいたり話しかけてくるので邪魔がしたいのだろうか?と思う少年
「どうだい?解体できそうかい?」
今回は進捗を聞きたい様だ。少年は爆弾のネジを慎重に外しながら迷惑そうな顔をしながら口を開く。
「まぁ、ミスでもしない限り90%の確率で解体できると思うよ」
10%は主に運で90%は実力で、才能と同じ様なものだと少年は言う
持つものと持たざる者がいる。少年の場合は前者だろう
「100%じゃないのかい?」
「100%ねぇ...」
嫌な思い出でもあるかの様な口ぶりで爆弾魔に向かって忠告する。
「覚えておくといい、この世に100%なんていう物はないんだよ爆弾魔」
「そうか、それもそうだね。」
納得した様な声で足を組む爆弾魔
「退屈そうだね。こっちは解体作業で忙しいのにさ」と少年は愚痴る
少しの無言の後に少年はいつもの様にある質問を爆弾魔に問う
「なぁ、なんでこんな所に爆弾を仕掛けようと思ったんだ?」
言っちゃ悪いがこの街には特に目立った建物もないし、ましてや汚職で建てられたビルでも、誰かが死んだりした過去のないクリーンで新品な真新しいビルなのだ。ただこの町では珍しいとも言える。なにせこの辺のビルは殆ど事故物件で自殺、他殺、汚職のバーゲンセールだ。犯罪都市かよと内心思っている少年
その少年の表情を見て、爆弾魔は理由を話す気になったのか渋々理由を話しだす。
「うーんそうだね。爆破依頼があったから...かなぁ」
「依頼ねぇ...そんなビジネス的な物だったっけ爆弾魔って」
もっとこう、楽しさとか復讐が目当てな爆弾魔ばっかりだと思ってたんだけどね。
「誘拐と違って身代金を要求できるわけじゃないんだ、依頼されて爆弾を作る方が効率的なのさ」最近の爆弾魔ってやつは変わってるね。
僕はこう、譲れない美学があるとか爆破したい建物を作った人に恨みがあって復讐する為に爆弾を作るとか、そういう爆弾魔を求めてるのにさ。と少年は思い
少年はこう口に出す
「つまらないなぁ..ついでにもうちょっと爆弾の仕掛けも凝って欲しい所」
「興味無さそうだね少年」
「興味無いよ、復讐とか言わない爆弾魔の事情なんて、」
「だって....面白く無いじゃ無いか」
この解体された爆弾みたいにさ。
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