第44話 情交 ※
サガンに部屋の前まで送ってもらってキリトがそっと扉を開けると、レイルが寝台で眠っているのが目に入った。
寝台脇の椅子に静かに腰掛ける。そうして無心に眠っていると、どこか幼く見えた。
寝台の上掛けがもぞりと動いて、レイルの手がキリトの腕を掴んだ。
「...キリト」
「ごめん、起こしちゃった?」
「いや、いいんだ。」
寝台に身を起こしてレイルが言う。
「王都からここまで馬を飛ばして来たから、少し寝不足だった」
「助けに来てくれて、ありがとう」
「ああ」
「王宮はレイルが居なくて大丈夫かな?」
「...駄目だろうな。俺も宰相も不在では。明日にはここを発つことになるだろう」
「そっか、分かった」
「...その前に」
レイルはキリトの腕を引いて抱きしめた。
「...する、だろう?」
「あ...」
どちらからともなく口付ける。触れるだけの口付けでは物足りず、キリトはレイルの上着を握りしめて、もう一度口付けた。小さく舌を出してレイルを誘う。堪えきれないようにレイルの手がキリトの頭の後ろに回り、強く引き寄せた。
「ん、ん...ふ」
キリトの上着の中に手を潜り込ませて背中を撫でる。背骨を指でなぞると、くすぐったいのか背中を仰け反らせた。レイルの目の前にキリトの白く華奢な首筋がある。よく見るとトルガレに短剣を押し付けられていた箇所に、細い鬱血の跡があった。苦い思いでそれに口付ける。
上着を脱がせようとすると、キリトは嫌がる素振りを見せた。それを許さずに上着を剥ぎ取ると、両腕にぐるりと擦り切れたような傷があるのが目に入った。
「この傷は、どうした」
「...縛られて付いちゃった...足にもあるんだ」
「...やはり極刑だな」
レイルはふつふつと怒りが沸くのを感じた。なぜ、このように儚いまでに美しいキリトがこんな目に合わなければならないのか。早く助けられなかった自分にもまた、怒りを感じた。
「き、極刑は無しで。僕なら大丈夫。こんな傷すぐ治るよ」
傷を癒すかのように、レイルはキリトの腕を取ってそっと口付けた。
「下も、脱いで」
「う、うん...レイルも脱いで?」
するすると服を脱いで二人とも裸になる。レイルの体は筋肉質で相変わらず格好良かった。キリトは眩しいものを見る様な目でレイルを見つめた。
「レイル、忙しいのに一体いつ鍛えてるの?」
「...執務の間に時々鍛錬の時間を取っている」
レイルはキリトを寝台に座らせると、キリトの足首を取って縄目の擦り傷に口付けた。
「僕も鍛えたいな。今度、騎士達の鍛錬に混ぜてもらおうかな」
「それではキリトに目が行って、騎士達が鍛錬に集中できないだろうな」
「じゃあ、やっぱり薪割りかな」
レイルはキリトの足首から太ももの方へと撫で上げた。
「あ...」
「...お喋りするとは、ずいぶんと余裕だな」
レイルの手はキリトの太ももの内側をゆっくりと撫でている。
「あの、僕、久しぶりで...」
「ああ」
「なんだか、恥ずかしい...」
レイルはキリトの言葉に構わず身を屈めると、キリトの太ももに音を立てて口付けた。既に緩く立ち上がったキリトの中心に顔を寄せると、躊躇わずに口に含む。
「あああっ...そんな、とこ...」
口内に自身を含まれる未知の感覚にキリトは悶えた。
「あ、ああああ、や、駄目、くち、はなして」
「気持ちいいか」
ようやくレイルが口を離した時には、キリトは息も絶え絶えになっていた。
はあはあと荒い息をつきながら、キリトが言う。
「僕も、する」
「キリトにされたら、すぐに達してしまう。また今度だ」
レイルはどこから出したのか、いつもの香油の瓶を手にしている。蓋を弾いて開けると、手の平にトロ、と出して広げた。
「足を、開いて」
レイルの目がじっとキリトを見つめている。キリトは恥ずかしさで全身を淡く紅潮させながら、ゆっくりと寝台の上で足を開いた。
「ああ、綺麗だ。キリトは、どこもかしこも」
レイルの手がキリトの後孔に伸びる。そっと指を突き入れると、キリトが眉根を寄せて首を横に振った。
「痛いか?」
「...も、レイルが欲しい」
レイルが指をずるりと抜くと、それにも感じてキリトが声を上げた。
「あああっ」
「どちらが良い?」
レイルがキリトの瞳をひたと見つめたまま聞く。
「...な、に?」
「前からと、後ろからと」
レイルの質問にキリトが頬を赤く染めた。
「...れ、レイルとぎゅってしたい...」
キリトの答えに、レイルは押し倒して突き入れたい強い衝動をぐっと堪えると、キリトの肩を押してそっと寝台に横たえた。
「あ...レイル、すき、あいしてる」
「ああ、俺もだ。キリト、愛している」
自身の怒張をキリトの後孔に押し付けると、後はもう、欲望を抑えることはできなかった。
「ああああああぁ」
いきなり奥まで突き入れられて、キリトが嬌声を上げる。キリトの声に容易く煽られて、レイルは思うさま攻め立てた。キリトはレイルに必死にしがみつく。
「ああああ、あ、や、もう、いっちゃう...」
「...俺もだ」
「あ、ああああぁ」
「...くっ、ああ」
強すぎる快楽に声を上げて、二人は同時に果てた。
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