第3章〜逆転世界の電波少女〜⑭
放送・新聞部の代表となった
そのことが、美術部とコンピューター・クラブとの交渉を円滑に進めることができた要因になったのは間違いないと思う。
選定されたデザインを持って挑んだコンピューター・クラブとの交渉では、
「このデザインで、中の人は、
と、積極的に取り組んでくれる約束を取り付けることができた。
さらに、中学時代に、『あいらんど中学のカナリア』と呼ばれた
「水色デザインのクール毒舌モードと、薄紅色デザインの甘口モードのギャップがタマリマセンなぁ……」
という彼らの感想を耳にして背筋に悪寒が走りかけたが、モーション・キャプチャーのソフトを使いこなす力量を見せられると、ここでも、コンピューター・クラブに協力をあおいだことに間違いなかったことが実感できた。
その実感があるのか、朝の時間帯には、まだ冬の寒さが残る季節であるにもかかわらず、同居人であり、部活の後輩でもある彼女は、このところ、目に見えて寝起きの機嫌が良くなっている。
「朝から味わって飲むコーヒーは格別だね。これが、カフェラテなら、さらに言うことないんだけど……」
基本的に不機嫌な朝イチの時間帯には、こんな余裕たっぷりの発言をすることなどなかった
そんなこともあって、オレは、このところずっと、ゲルブたちが言うところのNo.223620679 = 『ルートC』のセカイに入り浸っていた。
3月になっても、なかなか気温が上がらず厳しい寒さに耐えなければいけないのは、オレが元いたセカイでも、
日々、放送・新聞部発案のキャラクター・
それは、
「今日は、あいらんど高校のクラブ活動紹介ということで、放送・新聞部の部室にお邪魔していま〜す」
PCのディスプレイ上部に取り付けられたカメラに向かって語りかけた
《薄紅色デザインの甘口モード》
と、コンピューター・クラブの部員が言ったように、文芸部によるキャラクター付けで、
「それでは、さっそく、部員の方に、お話しをうかがってみましょう。放送・新聞部は、どんな活動をするクラブなんですか?」
デモンストレーションのようすを眺めていたオレに、
「あっ! 自分たち放送・新聞部は、校内のイベントや他のクラブ活動に同行して、学校の内外に対して、さまざまな活動をPRする広報活動を行っています。興味があれば、一度、部室に遊びに来てください」
セリフを
すると、モニターの中の少女キャラクターの配色が水色に切り替わり、さっきとは打って変わって、クールな口調で語り始めた。
「いきなり、『あっ!』から始まる宣伝って、製薬会社のコマーシャルですか? 放送・新聞部の部員さんなら、タイミングを間違えずに、話し初めてください。あと、ワタシたち放送・新聞部は、ただでさえ人手不足なんですから、もっと積極的に勧誘アピールをしてくださいね!」
《水色デザインのクール毒舌モード》
同じく、コンピューター・クラブの面々が評したように、
ショートカット・キーの操作ひとつで、暖色と寒色のふたつのバージョンを切り替えるようにしてくれたコンピューター・クラブの配慮とスキルに感謝しつつ、オレは、校内のさまざまな生徒の協力によって新しく生まれたキャラクターに手応えを感じていた。
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