第3章〜逆転世界の電波少女〜⑪
自室に
「なんだか、
気まずそうに苦笑しながらつぶやく。
「ウチの母親が、変なことを言い出して、申し訳ない」
オレが、そう言って頭を下げると、
「そんな! 謝ってくれなくてイイって! ワタシは、ずっと司さんにお世話になってるし、感謝してるから!」
と、我が母親を擁護する言葉を発したかと思うと、そのあと、小声で、
「それに、お兄ちゃんにも……」
と、続けた。
生活全般の面倒を見ていると言っても良い母親のことをありがだく想ってくれているというのは、なんとなく想像がつくが、彼女がオレに対して感謝している、という件については、その理由に思い当たる節がなかった。
ただ、消え入りそうな声で語られた彼女のその言葉に、普段の
「いや、母親はともかく、オレは、そんなに大したことはしていないぞ?」
そんな風に何気なく発した一言だったが、予想に反して、
「大したことはしてない、ってそんなことはない!」
その剣幕に、少々驚いて目を丸くしていると、
「お兄ちゃん……ううん、
同居人にして、クラブ活動の後輩でもある彼女は、拳を握らんばかりに熱く語るが……。
ただ、それは、彼女とともに放送・新聞部の活動を行うオレにとって、取り立てて特別なことではなく、クラブの上級生として、当然のことをしているだけだ。
それに、さっき、彼女が語ったように、部活の一環としてVTuberのキャラクターを創るなど、
オレは、そのことを彼女自身に伝えることにする。
「
そうして、オレの本心を語ると、彼女は、顔を真っ赤にしながら、抗議の声をあげた。
「サラッとそう言うことを言うのやめてください! 恥ずかしくなるじゃないですか!?」
「オレだって、珍しく
苦笑しながら返答すると、後輩女子は、ふて腐れたように反論する。
「珍しくって一言は余計ですよ……そりゃ、ワタシは、くろセンパイにツッコミを入れたり、イジったりすることの方が多いですけど……」
「いや、
自分自信の軽率な行動と、クリーブラットから伝えられた言葉を思い出しつつ、表情が強張らないように注意しながら、そう伝えると、
「迷惑をかけてるなんて、そんなことない! ワタシは、そう想ってるし、
「あの歌って……
唐突に、オレのよく知る幼なじみの歌のことが会話に出てきたので、不思議に感じて問い返すと、彼女は、一瞬、気まずそうな表情になって、
「いや、歌はどうだって良いんです! とにかく、自分を卑下するような言い方は
と、逆ギレに近いような口調で反論してくる。
それが、なんなのかはわからないが、なにか、彼女の感情の敏感な部分に触れてしまったことを察したオレは、
「オーケー! わかった!! この話しは、ここまでにしよう」
と言って、話題の変更を試みる。
そうして、こちらの提案に
我ながら単純な性格だとは思うが、オレは、
さっきも、つい口をついて出てしまったように、オレは、
自分の存在意義を見出すことが出来ない状態で、
(いっそ、このまま、このセカイ全てから消え去りたい……)
と、考え始めたときに、
(オレは、まだここに居ても良いんだ……こんな嬉しいことはない……)
いまや古典的教養と言って良い元祖リアルロボットアニメの主人公に強烈なシンパシーを感じながら、オレは、
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