第2章〜Everything Everyone All At Once〜①
生徒会主催にして放送・新聞部も協力するクリスマス・パーティーが無事に終了したあと、オレは、目が回るほどのハードスケジュールをこなすことになった。
『ルートC』のセカイで、
大晦日から新年にかけては、
後頭部をなでたあとに映し出される
「
オレの
三学期が始まってからは、交際中の幼なじみに部屋まで起こしに来てもらったり、ごくごくたまに、オレ以上に寝起きの悪い同居人である下級生を起こしに行ったりする日々を楽しみながら、クラス委員のパートナーが待っているセカイで生徒会選挙が行われる日を心待ちにしていた。
その結果は――――――。
得票率にして75パーセントに迫る投票を得た
応援演説に立った先代の生徒会長である
表向きは、次期生徒会役員への勧誘という名目があるのだろうが――――――。
「玄野くん……今日は、ふたつの返事を聞かせてもらうために、来てもらったんだ……」
「ひとつ目は、もちろん、生徒会役員のオファーだよな? それなら、もちろん、OKだ」
なるべく、さわやかに感じてもらえるよう努めて答え、笑顔をつくる。
オレの回答に、一瞬、安堵したような表情を見せた
「あの……もうひとつ聞きたいのは……」
「二学期に
わざと、遠回しな表現を使って確認すると、新しい生徒会長は、コクン――――――と、小さくうなずいて、うつむいてしまった。
その、健気で、思わず守りたくなるような仕草にドキリとし、喉がカラカラに乾くのを感じながら答える。
「あの……オレで良ければ……よろしくお願いします」
緊張で声が上ずるを抑えたため、小さな声になってしまったが、こちらの意志は、キッチリと彼女に伝わったようだ。
少しぎこちなくなってしまったオレの返答に、今度は心から嬉しそうな笑みを浮かべて、
「嬉しい……ありがとう……」
目尻に伝う涙を軽くぬぐう彼女の仕草を目にしながら、オレは、この状況をお膳立てしてくれた先代の生徒会長に感謝していた。
そして、こちらの認識とは大幅に異なり、オレとの交際を申し込んできた
結果的に想いを伝えたのは、
ふたつの異なるセカイの先代生徒会長の合わせ技が、今日の結果につながったことを考えると、
そして、セカイを股にかけて、ふたりのクラスメートと交際することになったオレは、
(
と、自分を正当化することにした。
しかし、そんな安易で誠意に欠ける想いを持ってしまったからだろうか?
その日、ベッドで眠ろうとまどろんでいたオレは、まるで、天罰が下るように、突如として、激しい頭痛に襲われた。
痛みをこらえながら、なんとか眠りについたものの、夢の中では、海が真っ赤な色に染まった
そして、翌朝、目が覚めると……。
セカイは、決定的に、そのカタチを変えてしまっていた――――――。
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