見境なく復讐に燃えるオンナ

七三公平

第1話 アンバサダーからの挑戦状(自由挑戦お題)「全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れ」

 私はその日、闘牛士の真似事をしたわ。そう、必死になってね。


 それというのも、あの女に復讐したかったからよ。あの女の結婚式を、ぶち壊してやりたかった。あの女が、私の彼氏を奪ったから。


 バッファローの群れを見つけるのは、大変だったわ。べつに、キリンでも象でも良かった。あの女の結婚式を踏み潰してくれるなら、なんだってね。


「動物の群れに、結婚式をぐちゃぐちゃにされるなんて、よほど運が無いのね。神様に祝福されない結婚だってことじゃない!」


 と言って、嘲笑ってやりたかった。結婚式の日取りは、分かっている。そりゃあ何日も掛けて探したわよ。そうして、ようやく見つけたバッファローの群れ。


 そこからも、一苦労だった。サバンナに行く時は、野生動物を刺激しないよう気を付けなければならない。近付き過ぎないようにしないと何が起こるか分からないと言うが、バッファローを思いのままに動かすのも、容易ではなかった。


 私は、カバディというスポーツの経験者でもある。そのカバディの技を駆使したりもしたわ。両手を広げて、素早い反応が出来るようステップを踏み、相手との距離を詰めてみたり、バッファローにタッチする振りをした。命が惜しくて、距離が詰め切れず、バッファローは無反応だったわ。モスラを呼び出すための歌みたいな、自作の歌も即興で歌ってみたりした。でも、効果は無かった。最後の手段として、長めの小枝を持って、単純に挑発してみたわ。


「ヘイヘイッ! バッファローさんよぉ。私に、ビビってんのかい?」


 チンピラのような歩きで、枝を振り回しながら、本当にチンピラ気取りで近付いてみた。


 そうしたら、バッファローがこっちを見たの。怖くなって、私はその場から走って逃げたわ。そしたら、追い掛けてきたのよ。逃げると、追ってくる。追われる気分は悪くなかったわ。ただ、必死で逃げた。そして、


「行きなさい、私のバッファローたち。全てを破壊しながら突き進むのよ。」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

見境なく復讐に燃えるオンナ 七三公平 @na2-3

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ