仮二

昔から雨の日が嫌いだった。

どんより曇ってて暗い雰囲気に引っ張られて自分も暗くなるからだと思ってたけど、もしかしたら私が嫌いだったのは、もっと直接的なものだったのかもしれない。

靴が濡れて、靴下がジュクジュクするとか、通勤電車の湿気と汗でむせ返るような臭いとか、あとは水で濡れて滑る廊下。

とにかく雨が降るといつもより日常の不快指数が上がるのだ。

今日は雨が降ってたけど、靴も濡れなかったし、電車も空いていた。

屋根の下からみる雨は町全体を覆い隠すカーテンのようで美しかった。

こんな雨なら嫌いじゃないなと思った。

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