異世界の最強職は桃太郎でした〜犬猿雉がなんか違う気がするけど強いからいいか〜
銃口向
第1話 むかしむかしあるところに
むかしむかしあるところに、お爺さんとお婆さんが住んでいました。
お爺さんは山へ薬草刈りに、お婆さんは川で洗浄魔法を使いに行きました。
おばあさんが川で洗浄魔法を使っていると、川上から大きな桃がどんぶらこ、どんぶらこと大きな桃が流れてきました。
「これはいいお土産になるわ」と思ったお婆さんは大きな桃を拾い、家に持ち帰りました。
家に持ち帰った大きな桃を食べようと、おじいさんとお婆さんが切ってみるとなんと元気な男の子が飛び出してくるではありませんか。
そうして生まれたのが俺ってわけ。
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前世?転生前と言った方がいいのだろうか。その時の実家は本屋だった。
しかし最新の雑誌や漫画を取り扱っているような大きな書店ではなく、俺が生まれるよりも前に出版されたような古本ばかりを扱った半分趣味のような店だった。
小さい頃からそんな環境で育ったからなのか、俺も本が好きになっており高校を卒業してからも実家の本屋を手伝っていた。
そんなある日のことだった。
利便性など気にしておらず、正直出しづらいくらい本がギチギチに詰められた本棚が倒れてきて、それに押し潰され気を失ってしまった、もしかしたら死んでしまったのかもしれない。
そして次に目覚めたときは、俺は生まれる瞬間だったのである。
刃物を持った老婆と、目を見開き信じられないといった顔をした老爺。
俺がこの世界に生まれた瞬間に見た光景はこれだ。
しかしこの辺は異世界人というべきか、老婆は妙に順応性が高く、赤子だと気付いた瞬間すぐに産湯を用意し、俺をそのお湯で洗った。
母親から生まれたわけではないので胎脂なんかはついていなかったのだが、なんせ桃から出てきたのでベタベタしており正直ありがたかった。
その間老爺のほうはどうなのかというと、混乱しているのか、あっちに行ったりこっちに行ったりと落ち着かない様子だった。
俺も男だしあまり言いたくはないのだが、こういった時は異世界だろうが現世だろうが男は頼りにならないのだろうか…
まぁ、そんなこんなで童話の桃太郎と大体同じような生まれ方をし、老夫婦の子供となった俺は、この世界の高価でとても美味しい桃の名前である『ハクトー(読み方はまんま白桃。)』という名前をつけられ、すくすく育ったのである。
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