魔法少女は負けない
さいとう みさき
時間がないのよ!!
彼女たちには三分以内にやらなければならないことがあった。
「くっ、このままではやられてしまうわ!」
世界征服をもくろむ悪の組織ワルダー教団に対して、この町を守る超絶美少女魔法戦士プリティースペシャルサンダーインパクトキューティカルチャーミングガールシスターズ、略してプリシスたちは窮地に追い込まれていた。
ちなみに超絶美少女魔法戦士は三人。
赤色のプリシスレッド。
青色のプリシスブルー。
黄色のプリシスイエロー。
毎回変身シーンは小さなお友達だけではなく、大きなお友達も絶賛しながら応援してしまうシーケンスを披露する事でも有名だ。
その内容は、中学生の女子がコンパクトを開き、「テクマク、マハリクマ、アノクタラ、ビビデバビデ、ポンっ!」と唱えると、一気に制服が消えて体が七色の光に輝き、そして各々色に準じたふわふわな衣装へと順次部分的に換装されてゆくのだが、体のラインがしっかりと分かったり、胸あたりにリボンが巻き付かれると、むにょっとなったりと、それはそれは見どころ満載であった(興奮気味の解説)。
三人の超絶美少女戦士は今週も町を破壊して人々を恐怖に陥れる、何故か毎週穿いている長靴のような靴だけは同じ怪人と対峙していた。
そして、毎度の事だが、怪人の触手に捕らえられている。
何故か毎週必ず一回はそう言うピンチに陥る超絶美少女魔法戦士プリシスたち。
しかし我々は信じている、きっとこの苦境を覆してくれると!
「プリシスレッド、こうなったらあなたの炎でこの触手を焼き切って! すぐに私の水の力で炎を中和するから! そうしたらプリシスイエローのギガントインパクトパンチであの怪人を!」
「分かった、もう時間がないもんね!! いっくぞぉ! メガファイアー!!」
「わかったわ! 急がなきゃだもんね!!」
何故彼女たちが時間を気にするかと言うと、超絶美少女魔法戦士プリティースペシャルサンダーインパクトキューティカルチャーミングガールシスターズは変身していられる時間がたったの三分だからだ。
二分三十秒になると胸元のジュエリーが赤く点滅する。
そして三分を過ぎると、魔法の力が途切れて、変身が解けて裸になってしまうのだ!
だから早く敵を倒し、そして変身を解除して元の姿になる必要がある。
乙女にとっては正しく死活問題だからだ。
触手に捕らえられていも、何とか動かせた右腕で胸元のジュエリーに触れるとプリシスレッドの身体から爆発するように一気に炎が膨れ上がる。
そしてプリシスたちを捕らえている触手を焼き払う。
「ウォーターシャワーっ!!」
つかさずプリシスブルーが同じく胸元のジュエリーに触れてそこから大量の水を吹き出し鎮火する。
そして自由になったプリシスイエローが飛び上がり、自身の右手装甲を体より大きくして怪人に叩き込む。
「必殺、ギガントインパクトパンチっ!!!!」
どっご~んっ!
ぷちっ!
「よしっ! 勝った!!」
「ヤバい、ジュエリーが点滅始めた!!」
「よっし、決め台詞で撤収!」
「「「おいたはだめよ、悪い子にはお仕置きよ☆」」」
キラーンと決め台詞とポージングをして彼女らはいそいそと悪の幹部に挨拶しながら撤収してゆく。
「じゃ、時間が無いので今日はここまでで!」
「はいはい、お疲れ様でした、来週もよろしく!」
こうして町の平和は守られた。
負けるな超絶美少女魔法戦士プリティースペシャルサンダーインパクトキューティカルチャーミングガールシスターズ!
やっちゃえ超絶美少女魔法戦士プリティースペシャルサンダーインパクトキューティカルチャーミングガールシスターズ!!
がんばれ超絶美少女魔法戦士プリティースペシャルサンダーインパクトキューティカルチャーミングガールシスターズ!!!!
町の平和は君たちにかかっているのだ!!
「はぁ~、今週も三分過ぎなかったかぁ~」
「残念だよなぁ~」
「前回は二分五十秒だったから期待したんだがなぁ~」
「ワルダーにも、もうちょっと頑張てもらわんとなぁ~」
「しかし、なんで三分なんだ?」
「ああ、なんか魔法少女が各町にいるんで、力の分配の関係らしいな。だからほかの町の魔法少女もみんな三分らしいぞ?」
「そう言えば、隣町の魔法少女は先週三分過ぎて凄いことなったらしいぞ!」
「なにっ!? その時の動画はないのか!?」
「バカ言え、認識阻害の効果で映像は一切映らないんだよ、肉眼で拝むしかないんだよ」
「くぁ~、ワルダー頑張ってくれないかなぁ~」
巷では超絶美少女魔法戦士プリティースペシャルサンダーインパクトキューティカルチャーミングガールシスターズの戦いを眺めていたファンたちがそんな事をぼやくのだった。
魔法少女は負けない さいとう みさき @saitoumisaki
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