寝取られた元恋人及び寝取り男に対するざまぁ

 起承転結の転の部分です。


 寝取られざまぁ小説の肝になる大切なシーンです。


 ここで盛大にざまぁをすることにより、読者たちが溜めに溜めたヘイトを完全解放します。


 このシーンで重要なのは



手ぬるいざまぁで終わらせない




 ことです。



 どういうことかといいますと、例えば物語のメインの舞台が高校だとします。


 寝取り男にざまぁをした結果、寝取り男の評判は下がり、皆から距離を置かれるようになりました。おしまい。


 みたいな手ぬるいざまぁで、読者が満足するか? という話です。



 もちろん現実的な視点から言えば、高校生のうちの自由恋愛の中で、恋人が別の人の所に行ったとか、浮気しただとかそんなことで警察に捕まったり退学にさせられたり、人生台無しレベルの出来事が起こるなんてありえません。ていうかそもそも寝取られざまぁみたいな話が現実的にありえません。


 客観的に見れば寝取られなんていうのはただ恋人が浮気して別れただけだし、浮気された直後に自分のことが好きな美少女が慰めてくれることなんてありえません。寝取られた側は一人傷ついてその後を生きて、寝取った側は寝取られた女性と懇ろになって終わりです。そこに救いとかエンターテインメント性とかないです。現実なんてそんなもんです。寝取られざまぁなんていうものはファンタジーなんです。



 なので、まずざまぁを書くときに必要なのは『現実的思考を捨てる』ということです。現実こんなことにはなんねーよ、とか言い出したら何もできないんで、まずはその考えを捨てます。


 先ほどの高校が舞台の例でいくと、寝取り男にざまぁをした結果高校は退学になり、警察のお世話になり、家族は離散し、男性機能は不能になった。くらいのところまで書いてもいいです。もう完全に人生台無しレベルですね。この先詰んでます。ちょっと浮気セックスしただけでこんなになるとか現実ではまずありえません。でも寝取られざまぁはファンタジーなんでこれくらいのことは起こります。起こるというか起こせます。



 でもここでちょっと気を付けて欲しいのは『現実的思考』は捨てても『リアリティ』は捨てたら駄目だということです。



 ちょっと待って。現実的思考とリアリティって何が違うの? って思ったそこのあなた。僕もわかりません。……いや冗談です。だから石投げないで!


 ……まあ簡単に言うと



現実的思考:現実の世界ベースで起こりうる事象。酸素が無いと火が燃えないとか、太陽は東から昇って西に沈むとか。高校生の通学で家から徒歩で通うやつなんか普通いねーよとか、そんなやつです。



リアリティ:作品世界ベースで起こりうる事象。魔力と魔法のある世界で魔法が使えて、使いすぎると魔力欠乏症になって倒れるとか、男女比1:10の世界で男性が優遇されている政策が実施されているとか、このキャラの性格、考え方ならこの言動をとるよね、みたいなやつです。



 なので、この二つはそれぞれ別のものとして切り分けて考えてください。


 そしてさっきも言った通り寝取られざまぁはファンタジーな出来事なので、そもそも現実的思考の上で成り立っているものではありません。なので、作品の随所に必要になってくるのはリアリティです。


 主人公の性格、考え方はこうだから、こういう行動をする。ヒロインの性格、考え方はこうだからこういう行動をする。この話の舞台である学校とはこういうところで、そこに配属されている教師とはこういった人たちである。この世界では政治とはこういう事情で動いていて、警察組織とはこういったことを証拠に揃えれば動いてくれる。


 そういった作品世界独特の考え方、ベースをこのざまぁのシーンに至るまでにちりばめておけば、ざまぁのシーンを盛大に、現実的に考えてありえないほど手厳しくやったとしても不自然にならず、悪役である寝取り男を成敗することができます。


 逆に言うとそういう下準備をせずにいきなり盛大にざまぁをやってしまうと、せっかく気持ちよくざまぁできる場面がいきなりの出来事に浮いてしまい、素直に楽しめなくなってしまいます。そうなってしまうと読者のヘイトが解消されず、解消されなかったヘイトは作者に向かってくることでしょう。怖いね。でも仕方ない。失敗してるのは自分だもの。



 このシーンの大事な点を簡潔に三つにまとめますね。



1.現実的思考とリアリティの違いを理解すること

2.リアリティを損なわないようにすること

3.ざまぁは盛大にすること



 この三つの点に気を付けて、読者が気持ちよくなれる盛大なざまぁを書きあげましょう!

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