ep. ライトside
「く、
それがルドの第一印象。
事の始まりは、アラン兄の一言から。
「ルドガー・ヴァーレン卿ってどんな子?」
「はい?」
小等部も終わりがけの頃、
「ライトと同じ学年に最近転入生いなかった?」
「……いた……っけ……?」
「……ライト、よく同級を連れて来て遊んでるでしょ? その子も誘えそうだったら誘っておいでよ」
はて、覚えがない。頭を悩ませる俺を尻目に、アラン兄は尚も続ける。
「何でだよ」
「別に何もないよ。可能なら顔見知りくらいにはなっといたらってこと」
「だから何でだよ」
「ライトは裏表がないからだよ」
「はあ? 全然わかんねぇ」
「とにかく、僕からはそれだけ」
「はぁ!?」
言われた後に探してみたら、確かにそいつは同級にいて、この世の終わりかよってくらい引くほど暗いやつだった。
とは言え、アラン兄の言うことは大体間違わないから、ひとまず声を掛けてみた。ら、これ以上ないくらい不審者を見るみたいな顔をされて、ちょっとムカついた。
絶対来ねぇだろと思ったそいつは、何でか誘ったらついて来た。けど、ついて来る割に全く絡んで来ないし喋らねぇし、ひたすら本読んでてやっぱり意味わかんねぇやつで、つまんねぇやつってことに変わりは無い。
アラン兄の言うミッションはクリアしただろうと、誘うだけ誘ったらもう忘れてるような存在だった。
ーーのに、何故かバカ妹がいつの間にかそいつに懐いていた。正直ビビった。
令嬢なんてヘソで茶が沸くくらい似合わない野生児みたいなバカ妹は、野生児らしく嗅覚がすごい。
ちょっと裏があったり、調子がいいだけとか、性格がひねてんなとか、俺がぼんやりでも思うヤツには懐かない。そんな野生のカンみたいなのがあるヤツが、懐いた。
「へぇ」
遠くからそんな2人を眺めて、俺はニヤリと笑う。
「おい、お前ルドガーだからルドな。いつも何読んでんだよ?」
相変わらず警戒心丸出しの顔で俺を見上げるルドに、俄然興味が沸いた。
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