第7話万太郎とロボットアニメ

 漆虎万太郎は1月から始まったとあるロボットアニメに嵌まっていた。

 そのロボットアニメは戦争モノで、とくに登場するロボットがカッコ良かったのだ。


「ようやくザブトン軍の汎用人型兵器モゲルグのプラモデルが手にはいった・・・」


 ザブトン軍というのは主人公が敵対する国の軍でモゲルグは主人公に一方的に撃ち落とされる言わばザコのモブ機だ。しかし、ザコのモブ機だからこそ自由に弄れるという魅力がある。

 頭に角アンテナとか、足にスラスターとか、肩に刺とか生やしたりとか・・・


「本当はジャンルの迷彩色とかを施したいんだけど・・・」


 余り綺麗とはいえ無い塗装に万太郎は渋い顔をする。


「そうだ夜間専用という事で誤魔化そう」


 おもむろに黒色の塗料を取り出し、ペタペタと黒く塗りつぶしていく。


「で、出来上がったのがこれと・・・」


 完成したと聞いて見にきた万太郎のウーチューバー仲間である一色保は呆れたような顔をする。


「夜間専用の色が黒って・・・」


 保ははぁとため息を吐く。


「はぁ?夜間専用は黒って忍者も言ってるだろ!」


「おいおい。忍者の服が黒いのは創作だけだぞ?夜は像が浮いて見えるからな。本物は濃紺や茶渋だ」


 それを聞いた万太郎の顔がすんとなる。


「大体、忍者が忍び込む場所が真に暗いなんて状況は殆どあり得ないからな?」


「じゃあなんで忍者の衣装は黒色なんて話が?」


「だから創作だよ。そ・う・さ・く。まぁ俺は、本物の忍者の人印象操作だと思っているけどな」


 自慢げに自説を開陳する保。


「あと、忍者っていうのが、暗殺を得意とする戦闘マシンというのも忍者の人の印象操作だな。まあ中にはつよつよの人もいたんだろうけど、大半は普通の人だ」


「な、何を根拠に?」


「その方が、忍者の人に都合がいいからに決まっているだろ?本来の忍者は敵の情報を収集したり戦場での撹乱だからな」


 万太郎は、保の言葉に打ちのめされる。言われた事がいちいち理に叶っていると思ったからだ。


「どうするべ・・・」


「まあ、誰それというエースの機体というのをでっち上げるのが無難だろうな」


「そ、そうだな・・・」


 後日、万太郎のウーチューブにザブトン軍のエースパイロットのオルティス・マッラーなる人物の専用モゲルグという動画が上げられ、その出来のせいかバズることになるのであるが、それはまた別の話である。

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