第4話 万太郎帰郷する
底辺ウーチューバーである漆虎万太郎には5人の兄がいる。
上から公務員の満。銀河警察の警察官である施文。大手商社の会社員である若玖。トライックボール(地球でいうバスケットのようなスポーツ)選手の衛栖。
なので底辺ウーチューバーである万太郎は非常に肩身が狭い。
「万太郎はまだフリーターなのか?」
年に一度。漆虎一家が集まる宴席で万太郎の父が切り込んでくる。心にダメージ!
「お父さん。万太郎はフリーターじゃなくてウーチューバーとかいうお仕事よ」
万太郎の母がニコニコしながらいう。
「バウンティーハンターじゃなかったか?」
施文が指摘する。
「バウンティーハンター?マジか施文兄ちゃん」
衛栖が食いつく。
「あぁ。最近、犯罪者のゴースト星人を捕まえたそうだ。同僚が教えてくれたよ。漆虎姓は珍しいから俺の血縁じゃないかって聞かれたよ」
そう言ってグラスのビールをぐいっと飲み干す。
万太郎の心にダメージがはいる。
「バウンティーハンター?」
「あぁ母さんは知らないんだ。ハンターギルドって組織に所属して、怪獣とか犯罪者を捕まえてお金を稼ぐことを生業としている人間のことだよ」
「あぁ、そう言えばウーチューブに怪獣狩ってる万太郎の動画が上がってたな」
満がうんうんと唸る。
「うげぇ!」
身内が自分のチャンネルを知っているというのはこっぱずかしい。地味に万太郎の心にダメージが入る。
「あらぁ?満だけ万太郎の活動を知ってるのってズルいわ。どうすれば見れるの?」
万太郎の母がクネクネしながら満に尋ねる。
「そうか。ハンターの万太郎に頼めば俺の仕事も捗るな」
若玖が乗ってくる。
「か、勘弁してくれ」
万太郎は断続的に入るダメージに白旗を上げる。
「何だよ。恥ずかしいならウーチューバーなんて辞めろよ」
衛栖がケラケラと笑う。流石、全銀河に中継されるプロスポーツの選手である。見られる事が恥ずかしいという感覚はない。
「本当に勘弁してよ」
万太郎の心はドンドンとささくれていくのであった。
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