第2話 ☆ 伊香保の日記ー1 ☆

 これはどうしても紙に書く必要がある。

 スマホなんかの電子記録媒体ではだめだ。

 あの人には心許していても、やはり心の内をつづったものを読まれたくはない。

 だからデジタルではなく、あえてアナログな大学ノートに書いている。

 ついこの間、新しい彼氏ができた。まだあの人には気持ちが残っているけれど、ふられてしまった以上は彼が今現在の恋人だ。

 偶然同じクラスの人だったのは運命的かなと思ったけれど、別にただそれだけで、本人はこれといって魅力を感じない男の子。

 しかもなんか偽善くさいお説教もする。少々うざったくもある。

 まあ、それはそれで新鮮でいいかも。

 あの人が知ったらなんて言うだろう。あきれるだろうか。止めようとするだろうか。

 でもあたしにはあたしの考えがある。引き返すつもりはない。

 彼にはあたしに、身も心も捧げて欲しいと思う。

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