悪役には悪役の。

グレースお姉さま

やるべき事。

 闇の世界の暗黒の女王マリアーナ・ブラックウィッチには三分以内にやらなければならないことがあった。

 それはあと三分以内で地球を征服する為に邪魔になっている魔法少女達、戦乙女ワルキューレを如何に倒すかを考えなくてはならない。

 なぜ三分かと言うと上司である闇の皇帝ヴォルガンス・ダークハートが、そう言ってきたからである。

 ちなみに三分に意味は無い、私たち闇の幹部が揃いも揃い戦乙女ワルキューレに敗れ続けているのでご立腹になり、無茶なスケジュールを私に押し付けてきたのである。

 ちなみに他の幹部は暗黒の将軍グローカー・ブラッドレイジただの筋肉馬鹿、暗黒の賢者マロク・シャドウウィズただの知識馬鹿、この二人に緻密な作戦は立てられない。

 よって、消去法で私が作戦を考える羽目になってしまった。


「マリアーナ、考えは……作戦はまとまったか?」


 ヴォルガンス様が問いただしてくる。


(いやいや、今までのゴリ押しでも、知識で倫理的に追い詰めてもダメだ、思いつくわけが無い……!!)


「そうか……なにもないのか」


(しかし、ここでヴォルガンス様への忠誠心を裏切り訳にもいかない……!!)


「ヴォ……ヴォルガンス様!! 誠……誠に恐れ入りますが次の作戦、出撃の際にはぜひご同行をお願いしたく!! そして我らに力をお貸しください!!」


 気が付けば、そう叫んでいた。

 これは最低のお願いで、最低の作戦だ。

 何が悲しく、自分達の失敗を上司に助けてもらわなければならないのだ……

 しかし、それだけに戦乙女ワルキューレ達は強い、もはや我々三人と雑兵達でもヤツらを倒す手だては……無い。


「そうか、ついに……ついにお主達だけでは太刀打ち出来ぬほどヤツらは成長したのか」


 ヴォルガンス様は私の声を聞き、そして嬉しそうに声を上げた。


「マリアーナ!! 私達の地球征服には訳がある、だがそれよりも私は猛者との戦いも望んでいる!」


 その表情は歓喜……否、闘いの化身の様に輝きさえ見えている。


「次の作戦日が決まったら報告にこい、私が、闇の世界の皇帝、ヴォルガンス・ダークハートが共に参る」


 そう言い残し、奥の部屋へと消えていく。

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悪役には悪役の。 グレースお姉さま @Red_plum_sister

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