第42話

パソコンの画面を消し、水を飲む。


「ふぅ。」


一応ブラボは倒せた。だが奴は同じ高校の生徒だ。危険が消えたわけじゃない。いや、より危険が増したと考えてもいいかもしれない。奴の標的は俺だろう。だが俺の周りにも危険が及ぶ可能性が高い。おそらく次の標的は……


・・・


「花梨ちゃん、だよ。」

「うん、そうだと思ってた。」


呼び出しには応じないし、あまりお兄と離れない。そうすればブラボが仕掛けてくることはないと思う。


「それはそうと、そろそろ合唱コンがあるんだけど。」

「え……。」


合唱コンクール。去年は2人とも歌わなかったって聞いた。


「沙紀ちゃん、無理しなくてもいいからね。」

「うん、でも私は、歌いたい。」


沙紀ちゃんの意思は硬いみたいだ。


「ユナリスの皆が、私のために歌ってくれたから。想いを届けてくれたから。」

「うん。」

「だからね、歌いたい。合唱でも、配信でも。皆の前で。」

「大丈夫だよ、沙紀ちゃんなら、きっと。」

「うん。」


そう言って立ち上がった沙紀ちゃんは自分の部屋に戻っていった。


「次は私……かぁ。」


・・・


「おはよう」

「おはよ。」

「お兄、沙紀ちゃん、おはよう。早起きだね。」

「そうかな、土曜日だからだと思う。」


土曜日はどうしてか早起きしてしまう。花梨ちゃんはのんびり起きてきたけど。少し羨ましいな、と思う。それでも私は8時起き、翠斗は7時半起きだったみたいだ。今は9時過ぎ、このくらいまで寝てたい気持ちはある。


「今日は花梨の配信だったか?」

「うん。お兄達はどうするの?」

「俺は少し出かけてくる。沙紀と一緒に。」

「そうなんだ。」


出かけるのは10時からだそうだ。お昼ご飯は食べてくるらしい。


「それじゃあ私は配信の準備してくる。」

「ん。」


自分の部屋に戻って準備をする。今日は何をしようかな。




10時、行ってきますという声を聞いてから配信をスタートさせる。


「こんさらー。Saraの部屋にようこそ。」

|:きたー!

|:おー。

|:ナイス

|:待ってました。


コメントがすごい勢いで流れていく。たまにスパチャが飛んでくるけど無視する。これは私なりの配慮だ。いちいちスパチャを読み上げていたらキリがない。だからスパチャは読み上げないことにしている。これはさらともの皆も了承済みだ。


「皆聞いてよ、今日はお兄とYunaちゃんの2人でお出かけだって。どこに行ったのかは知らないけどね。」

|:へー

|:お出かけかぁ

|:デートじゃん

|:ラブラブですなぁ



〈あとがき〉

お久しぶりです。ほんっと久々の更新ですね。書きだめなんてしてないのでまた次の更新まで期間が開く、かもしれません。不定期更新なのでね。

……それだけ。  夜影 空

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