小説家とか漫画家とかが、絶対に逃れられないもの……
創代つくる / 大説小切
第1話 そもそも税務署への道にバッファローがいる時点でおかしいんだよ
俺には、三分以内にやらなければならないことがあった。
それは商業作家であれば、専業作家だろうと兼業作家だろうと絶対にしなければならない、魔の所業……確定申告である!
俺は今から三分以内に、税務署に駆け込まねば、間違いなく確定申告ができなくなるからだ。どうして三分以内なのかは後ほど説明しよう。
しかし、それより今の問題は、それを阻むものが今この眼前に存在していることだ……
それは、全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れだ!!
まず、なんでバッファローがいるのかを説明しなければなるまい。なお残り二分五十五秒。
そもそも、まずスポーツだか何だか知らんが、この街にはバッファローをトレードマークとする球団だかサッカーチームだかが存在するらしい。
だが、小中学と短距離走も長距離走もクラス最遅、体力テストの度にフィジカル最弱キャラの称号を獲得してきた俺にとって、スポーツなんぞは「クソどうでもいい
スポーツなんぞ、将来的に電気刺激で勝手にやってくれる装置ができるに違いない。
それとカップ麺のバク喰いの結果、ラーメンハゲならぬラーメンデブと言わ慣れて幾星霜。それでも俺はスポーツを厭い、その現実から逃げるようにパソコンとキーボードに向き合ってきた!あとラーメン。
性格が歪んでる、自覚は、ある。自虐しないと
だが小説を書いている時も、パソコンが雷でデータが飛んだ時も、うっかり足元のPC本体を蹴ってHDDのデータが飛んだ時もだ。俺のパソコンは俺の限りなく美しい小説と、写し鏡のように小醜いこの顔とを映してきたのだ。もはや、このモニター(三代目)こそが俺の顔と言って差し支えなかった。モニターこそが俺の顔なんだ!!それが
その実績と自信が、このデカデカと輝く確定申告の用紙にも反映されている。俺にスポーツなぞ不要!資料とパソコンさえ有れば良かろうなのだ!!
だが。ここにきて、そのスポーツ嫌いが俺の邪魔をするとは思わなんだ。
ポストも猫もカンガルーも過労で青息吐息、通販全盛の令和の世。とりあえず生きていければ立地なぞ何でも良いので、地元から離れたところに一人で部屋を借り、パソコンに向かうかカップ麺を食うか資料を読み、たまに外に出ては同人イベントに行き、時には笑顔、時には涙目で近場の税務署に確定申告をしに行く。そんな日々を送ってきた。風呂?それはスポーツ人が使うものだ。外に行く時だけ使えばよい。
つまり今日は風呂にもちゃんと入っている。えらい。よくがんばった俺。
しかし、今日は確定申告しようにもバッファローがいる。全てを破壊するバッファローの群れが、メロスを阻む濁流の如くに猛進驀進しているではないか。なんなのだ これは!どういうことなのだ!いやまあ、すぐ人に話は聞いたのだが。
それでもあまりにもな理由に、俺は思考と理解を放棄しつつあった。なぜ、ここにバッファローがいるのか、その説明を聞いた端から忘れかけるほどに……
俺、今なんでこんな事を考えてるんだっけ??
延滞税確定まで残り二分五十秒
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