僕らの青い桜
神楽らむ
第1話 桜咲く日に。
庭に散る桜の花びらが、今年もこの季節になったことを僕に伝えてくれた。
今日は僕が入学する中学校...私立中央中学校の入学式。中学受験で燃え尽きた僕は3学期の入試が終わったあたりから不登校になった。理由は簡単、疲れたから、だ。僕は中学受験をするために小学校2年生から塾に通わされ、毎日最低3時間勉強というふつうの小学生なら考えないらしい、ハードな生活を過ごしてきた。おかげで友達はゼロ。スポーツやゲームといった趣味もできないまま、勉強だけを取り柄に頑張ってきた。その中学受験が終わった今、これ以上何を頑張ればいいのか。両親はとても嘆いて、一週間寝込んだ。子供が不登校になったくらいで大げさな...と思って学校に行こうと考えたこともあったが、友達のいない僕にはほとんど居場所もないから、このまま中学校になるまで休もうと思った。
そんなこんなで1人部屋で勉強と食事と睡眠を繰り返しているうちに中学校の1学期が来てしまった。中央中学校は僕の通っていた小学校からは遠く、僕が不登校だったなんてことを知る人は誰もいない。別に知られて欲しくないことでもないからどうでもよかったけど、ちょっとだけ安心できた。
「翔〜ご飯よー。」1階から母の呼ぶ声がする。僕は「今行く〜」と返事をして、慌てて身支度を整えた。「翔ちゃん、中学校は行ってくれるのね。」母は心配そうに聞く。「うん。」そっけない返事をして、朝食を胃に流し込む。「つらかったら帰ってきてもいいからね。」母はまた心配そうに言う。これは心配じゃなくて、もはや過保護だ。とツッコミを入れたくなる。そんなことを考えてふと時計を見ると、あと30分で入学式が始まることに気がついた。「まずい、遅刻する!」
僕は母の手を引いて家を出た。
まさかこの中学校が問題だらけだとも知らずに...
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