スーパーレガリオコンキスタドールズ

ハカセの助手

第1話

 ヒト族の国際情勢が終わってるファックトアップっていうのは、最近聞いた話。

 説明するにはまず、とあるお姫様の国について語らねばなるまい。

 国名は忘れたが、そこは隣国と比べるとだいぶ特殊な国だった。

 国民の大半が人外なのだ。

 猫耳、犬耳、うさ耳、エトセトラ……なにこれ耳の話だっけ?

 なんでヒト族は他種族を耳の形状で判別するんだろうな。

 たぶん差別だぜあれ。

 まぁともかく、その国には獣人とか妖精とか、エルフとかドワーフとか……まぁ言いたいことは分かるだろ? そういう俺っちたちに近い種族がわんさかいるんだ。

 そんなナンタラ国はいわゆる後進国で、クソ王子が束ねる常任理事国どもから除け者にされていた。

 技術的、経済的弱小国と同盟を結んでもメリットがない。むしろ先進国側にとっては、でかいお荷物を抱えることになるだけ。それになんだあの国のやつら。姫も紫色の肌をしちゃって。人間を名乗っているが実は魔族なんじゃないか? そんなことまで言われる始末。

 しかし、人間社会は新天地開拓──といえば聞こえはいいがその実ただの対魔族の侵略戦争──で持ち切りだ。

 領土拡大と集団的自衛の仲間にいれてもらえなければ、ウンタラ国は孤立無縁になる。

『だから、俺の女になれ』

 っていう政略結婚。

 それが常任理事国トップのドゥー国クソ王子、シバッグがとあるお姫様にした提案だ。

 聞いただけで虫唾が走るクソ野郎だよな。

 しかもそいつは既に正妻がいて、お姫様は単なるガス抜き用の妾のつもりで……だぁくそミスった! なんで普通に殺っちまったんだ! ケツの穴に槍ぶっ刺してケバブにしてやるべきだったろ!  俺のチン棒でもしゃぶってろ母性愛者サック マイ ディック マザーファッカーッ! 百遍ぶち死に晒せ売女の息子サノヴァビッチ

 閑話休題。

 もしかすると、そろそろお気づきかもしれない。

 俺っちはヒト族ではないと。

 自分としては人間のつもりなのだが、ヒト族はそうは思ってないらしい。

 彼らは俺っちたちを『魔族』と呼ぶ。

 魔族を統べる王。

 それが俺っち、レガリオだ。

 

 そろそろ始めようか。

 白馬に乗った王子様でも、オーバーオールに赤い帽子の土管工でもない。

 魔王がお姫様に一目惚れをし、助けに奔走する。

 素敵な愛の殺戮ショーを。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る