第14話 死亡フラグじゃないように
そうして時は進み……
「ついに明日かぁ……」
ラーナさんに告知されていた魔王襲来がついに明日に迫った。
いや、本当に来るかどうかはまだ確定じゃないけど、僕らとしてはやるだけの準備はやったっていう感じ。
そういうわけで、今日はなにもせずにお休みになっている。
のだが……
「休みの日って何したらいいんだっけ……」
完全に暇を持て余していた。ここのところずっと忙しかったからなぁ……
休みって言われたら何していいかわからないんだよ……
というわけで、なんとなくやることもなくリビングでテレビでも見ながらスマホをいじっていた。
「うん? あれ? 大愛さんからだ」
突如、大愛さんから電話がかかってきた。
「はい、もしもし?」
「あの、飛鳥さん。新しいモンスターのデザインについて相談があるんですけど」
「えっ? 今?」
あれ? 大愛さんにも今日は休みって言っておいたよね?
「はい。ちょっとどうしても気になってしまって」
もしかして大愛さんも暇すぎてなんとなくデザインとか見ていたとかなのかな?
まぁ、いいや、ちょうどよかった。
「それだったら今から相談しようか。今そっち行って大丈夫?」
「はい! 今なら結衣も学校に行ってますので」
そうなると2人ってことに……いや、なんかあるわけじゃないから大丈夫か。
「OK。それじゃあ、今からそっちに行くね」
準備をしてっと、ダンジョンから移動完了。
「よっと、こんばんは大愛さん」
「はい、いらっしゃい飛鳥さん、早速なんですけど……」
そう言って迎えてくれた大愛さんに早速、デザインを見せてもらった。
内容としては、以前決めたモンスターについて、特徴を考えると、もう少しデザインを変えたいんだけどというような相談だった。
一度OKを出して、今もダンジョン内にいるモンスターなんだけど、大愛さんとしてはどうしても気になってしまったらしい。
こだわりがあるのはいいことだから、僕としては全然構わない。
「うん、それで大丈夫だよ」
ということで無論受け入れ。
「ありがとうございます。それでは、その方向で調整を入れますね」
嬉しそうにPCを操作する大愛さん。もしかして今からまたやるつもりなのか?
「あ、そんなに急がなくてもいいよ。明日からは大変だし、そのモンスターもまた登場するのはちょっと先になるだろうしね」
明日は当然、うちのダンジョンは全面的に閉鎖。
モンスターは多少迎撃要員として出すつもりではいるけど、今話し合ったモンスターはその対象外だ。
「えっと、明日……明日って何かありましたっけ?」
大愛さんが首を傾げた。
えっ、ひょっとして、忘れてる?
「えっと、明日、元魔王が……ね」
「……え?」
きょんとした顔を浮かべた後、急いでカレンダーを見た。
「あれ? 今日は……あー! 今日はもう前日じゃないですか!」
気がついてなかったんかい!?
「すみません、日付の感覚がずれてました……もう数日くらいはあると思ってました」
うなだれる大愛さん。
「いや、うん。大丈夫? その色々と」
大愛さんは地球を守ってもらうための重要な戦力の1人でもあるからさ。
「はい。えっと、大丈夫です。あ、でも仕事は……」
「いや、それよりもゆっくり休んでもらう方がありがたいかな。ひょっとしてだけど、大愛さん寝てなかったりするんじゃない?」
よく見たら隈ができてるし。
「うっ、それは……そうですね。確かに、少しでも体を休めたほうがいいかもしれませんね」
そう言うと、大愛さんは立ち上げていたソフトを閉じた。
「うん、ゆっくり休んでよ。大愛さんにはいつも助けられてるんだからさ」
ほんとデザイナーとしてだけじゃなくて、それ以外でも色々と助けられてるよね。
「いえいえ、こっちも飛鳥さんには色々と助けてもらってます。そもそも、結衣を助けていただいたところからの関係ですし」
「あー、そんな始まりだったね。あれからちょうど一年くらいかな? なんか懐かしいなぁ」
突然連絡もらったんだったよね。それでわざわざ会いに行ったんだっけ。あれがもう一年も前になるのかぁ……随分と僕らの関係も変わったもんだね。
「そうですね。でも、本当に感謝しているんですよ。こうして仕事も一緒にさせてもらっていますし。それに……」
大愛さんは僕の顔をちらっと見た。
「うん?」
「飛鳥さん、ちょっとお願いがあるんですけど?」
「何? 休みがほしいとかならこっちもウェルカムだけど」
「いえ、そうではなく……あ、でもそれでもいいかもしれませんね。すべてが一区切りついたら一日付き合ってもらっていいですか?」
「すべてが終わったらって……襲撃の後ってことだよね? それくらいなら全然かまわないけど」
「はい、それではお願いしますね。それまでに私の方もちゃんと覚悟を決めておきますので」
……あれ、この雰囲気、何回か味わったことあるぞ。
あー、つまりこれ……
「すべてが終わったら伝えたいことがありますので」
多分、そういうことかな……これは僕の方も覚悟を決めておかないとかな?
それはともかく……
「……死亡フラグにはならないようにしないとだね」
僕がそう言うと、大愛さんはきょとんとした後、苦笑いをしながら頷いたのだった。
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