第44話
その後、大型連休を利用して観光なんかをしてから僕らは秋田を後にした。
まぁ、観光では雛香と一悶着あったりしたけど、それはまた別の話。
ともかく、僕らは家に帰って日常がまた始まった。
「見ろよ飛鳥! 俺も念願のポーションを手に入れたぜ!」
「……ああ、おめでとう」
うん、ダンジョンがある日常だね。
友人が僕に初級ポーションを見せびらかしてくる。
けど、もう少ししたら普通のポーションを導入することになってんだよね……
長く限定公開にしてきたけど、一般公開にすることにした。
秋田から帰って告知をして、それから一週間後に一般公開となった。
その結果、友人がダンジョンに潜りっきりになって学校に来なかったり……流石にそれはどうなん?
まぁ、公開したことによって、色々と混乱はあったみたいだけど、数日もしないうちに落ち着いた。
なんか裏では真田さんが忙しそうにしていたから、なんか手を回したのかな? 怖いので考えないようにしておこう。
そんなわけで、今では誰でもダンジョンに潜れるようになっている。
それによって、ポーションや回復魔法の杖なんかの価値が大分下がってきて、一般にも広がってきているようだ。
噂だと病院に行ったらポーションをもらったとか、そんなこともあったとか。流石にそれは噂だと思うけど。
「お兄ちゃん! そろそろ雛香のダンジョンも強化してよ!」
そんな中でも僕はダンジョンを作り続けている。
「そういえば、雛香用のダンジョンはしばらくそのままだったな」
一般公開したことによって、僕のダンジョン創造スキルのレベルもかなり上がった。
現在のレベルは25。できることがかなり増えた。
「まぁ、雛香のダンジョンは敵を強くするだけだからいいか……無理になったら言えよ」
「うん!」
戦闘センスだけで乗り切っている雛香はいいとして、そろそろ次のダンジョンの公開の準備も進めている。
「これを本当に導入するんですか?」
里楽さんが僕の企画書を見て驚いている。
「ああ、一応、真田さんにも相談したけど、大丈夫だって」
ただし、真田さんには問題がおきたらすぐに対応できるようにと、報告できるようにはしている。
「これは大分騒ぎになりそうですね……」
うん、まぁ、そうだろうね……
そのダンジョン内容は……
「自身の能力を強化するポーションを手に入れるためのダンジョンだ」
そう、今までのダンジョンはあくまでも素の能力で戦うことを前提としていた。
しかし、それだけでは限界がある。
強いモンスターと戦うためには、力だったり速さだったり素の身体能力を強化する必要があるのだ。
「基本は、朝倉さんの時に作った時の応用になるかな?」
要するに、罠、敵などが結構強めになっているが、経験があればクリアできるようなダンジョンだ。
「それに、最初はちょっとした栄養剤? みたいな感じで効果があるのかないのか、わからないくらいにするつもりだよ」
急激な混乱にはならいと思う。
DPでの交換もそれなり高めに設定するからね。まぁ、その分、現実での価値は上がっちゃうけど。
売ってすぐにお金にするか、今後もダンジョンに潜ることを考えて自分に使うかはその人次第だ。
「……一日中ダンジョンに入り浸る人が出そうですね」
「あー、そうなるかもね……」
今でも、ダンジョンに入ってアイテムとDPを稼いでお金を稼ぐ人たちがいる。
それがさらに増えるかもしれない。
「ダンジョンに潜るだけで確実に自分が鍛えられるならばそっちのほうが効率いいという人も出てくるかもですね」
「うん、だから、一応年齢制限はつけておくよ」
自身の能力を鍛えるポーションの中には、賢さ、ようするに頭の良さを良くするためのポーションも含まれている。
それを使うことで、学校に行かずにダンジョンを潜ることで学力を上げることができる。
流石に、それは問題だから、年齢制限をつけて16歳以上としておくことにした。
このあたりは結構迷ったんだけど、本当は18歳未満は禁止にしようかと思ってたんだけど、それだと高校に行っていない人が潜れないことになる。
なので、16歳とした。
そもそも、僕らがまだ18歳未満だしね。
「それにしても、ここ2ヶ月程度で一気に色々と変わりましたね」
そうなんだよね。
僕がダンジョンのテストをし始めてからまだ2ヶ月くらいしか経っていないのだ。
「それでも、悪い方向ではないですよね?」
「ええ、それはまぁ……回復薬など出回りましたし……」
うんうん。それなら良かった。
「僕のダンジョンで不幸になるなんて許せませんからね」
今後もいいダンジョンで、世界をいい方向に変えてやるぞ!
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これにて1章が完了となります。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
続きですが、少しお休みをいただきつつ閑話を4つほど投稿します。
明後日9日から隔日の投稿となります。
その後2章の投稿は29日を予定しております。
引き続きお楽しみいただければ幸いです。
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