第16話
『はぴぷれ』のVtuber“
ボクは学校でいつもの如く
「アリサ、最近ずーっと
そう、汐凪さんと仲の良いグループ。
それはつまり、クラスのカーストトップ層の連中が集うグループのこと。彼女たちの中にボクが混ざることで起きる化学反応が果たしてあるかと問われればNOと答えるしかない。
すなわち今の空気はボクにとって軽く地獄である。
しかしグループと言っても計八人(ボク含む)がまとまって食べることが出来る場所などうちの学校には存在しない。だから結局四人二組で分かれることになった。
と言うことで今ボクが食べてるグループのメンバーはボク、もちろん汐凪さん、それから二週間後に迫った修学旅行でのホテル班で一緒になった二人。
この二人はいつも一緒にいる印象が強い。
今しがた喋った女の子は背が高くてベリーショートの茶髪。右耳にはピアスをつけていて外見は派手めのギャルみたいだと思っている。
そしてそれを無表情で、黙って聞いている女の子。彼女はストレートロングの黒髪で、左側だけ耳が見えるように髪を耳にかけている。一見『大和撫子』を想起させるような見た目の彼女だけれど、その空気に晒された左耳には三つもピアスがついている。彼女も口数は少ないもののギャルに違いない。
茶髪の子が
黒髪の子が
二人ともボクに気を遣ってくれているのか、汐凪さんを通していつでもボクが話しやすいように会話を進めてくれていた。
「いやー、それがさ!
トークアプリで夜になっても頻繁に汐凪さんと連絡を取り合ってる成果なのか、汐凪さんはここ最近になってボクのことを急に『兎月』と名前で呼ぶようになった。
「なんそれ!?うちらといても面白くないってかー!?かぁー!!言ってくれるねぇ、嬢ちゃん!!!」
「いや別にカリンも面白いよ。だってあたしらのお笑い番長だし?てかそれは何のキャラよ」
「今朝の通学途中に電車でランドセル背負った悪ガキたちがさ、うちのこと見て女装癖の変態だとか言ってたんだよ。はぁ!?女装も何もうちは
「「www」」「………(プルプル)」
「え、スモモとアリサは二人とも鼻で笑うのやめて?てか追川さんもめっっちゃ笑うの堪えてんじゃん!我慢しないで普通に笑ってほしいんだけど!」
そんな会話で、安島さんの切実とした言葉を皮切りにボクたち三人は一斉に思い切り笑い出した。
だめだ。安島さんって見た目が派手だし、絶対性格きつくてボクとは相入れない存在だと思っていたのに……。面白すぎる。
立村さんも「やれやれ」って感じで鼻で安島さんを笑っててノリが良かった。汐凪さんはボクが笑いを堪えてるのを見て嬉しそうにしていた。
なんだか、さっきまで地獄だと思い込んでいたこの空間が、やけに温かく感じるのは気のせいだろうか。気の迷いなのだろうか。
もしかしたら、最近のボクは日々が順風満帆で浮かれている可能性もある。
けれど彼女たちのボクに対する『思いやり』はしっかり感じとれていて、つまりはこれは気の迷いなんかじゃ無いと確信する。
そのまま温かい空間でお昼休みの時間を過ごした。
途中からはボクもドギマギとしながらだけれど、会話に参加することも出来た。
なんと会話の流れで安島さんと立村さんの二人と連絡先を交換してしまった。スマホのトークアプリに記録されている『ともだち』の欄に彼女たちの名前があるのを見て、「あれ?ボクってもうコミュ障陰キャとか流石に卒業で良いよね?」とか思っちゃうくらいに嬉しいハプニングだった。
汐凪さんがボクたち四人のグループチャットを作ってくれて、放課後になりボクが家に帰ってきたタイミングで安島さんがそのグループにこんな提案を出してくる。
『今週末、修学旅行で必要なもの買いに行こーぜぇ?嬢ちゃんたち!!』
すぐに汐凪さんと立村さんはそのメッセージに返信していた。ボクは初めて経験ずくしで戸惑いながらも「OK!」とスタンプを送った。
「ふひひ……なんか楽しいなぁ。こういうの」
「………おねーちゃん、顔がなんか気持ち悪いよ?」
「
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