ボイチェンしてキモオタおじたんキャラとして一定のマイナーなファンを確立していた僕、放送事故により女であることがバレてからの翌日ネットニュース騒ぎで有名人になりゅ
百日紅
プロローグ
第1話
〈 〉はボイチェンによるおじたんボイス
「 」は主人公の素の声(天使の萌え声)で使い分けていきます。
◇ ◇ ◇
しょーらいのゆめは、フ〇リキュアです
幼稚園児、小学校低学年だった頃にみんなの前で発表した将来の夢。
あの頃はみんながボクに優しかった。温かかった。
周りの子たちや大人たちまで、みんなが口を揃えて「
親の仕事の都合でボクは転校することになった。小学六年生のときだ。
新しい学校の新しいクラスで、ボクは自己紹介をした。
「
ボクはお辞儀をしたあと、顔を上げて胸を張った。
何も恥ずかしいことなど、この時のボクには無かった。
新たなクラスメイトたちは男の子も女の子も何故か頬を赤く染めていた。
そして唐突にまだ名も知らない男の子の一人が大きな声で、ボクを揶揄うみたいに言ったのだ。
「は、はは。き、聞いたかよみんな、コイツの声きっもちわるー!それに、そんなブサイクなのにフ〇リキュアになりたいとか、恥ずかしくねーのかよー!!」
その子を仕切りに、次々と周りの男の子たちもボクのことを揶揄いはじめる。
女の子たちはそんな彼らに非難の視線を向けるものの誰も咎めない。それも今思えば言葉に出さなかっただけで彼女たちも男の子たちと同じことを思っていたからなのかもしれない。
小学六年生にもなってフ〇リキュアとか、恥ずかしくないのかとも言われた。
何が恥ずかしいのか理解できなかった。
結局、そんな男の子たちの騒ぎは担任の先生が怒るまで止まなかった。
この時にボクは気づいてしまったのだ。
どうやらボクの声は気持ち悪くて。
ボクの容姿はブサイクだと。
……………………
………………
…………
〈ってな感じで、あとのボクは陰キャでキモオタ街道まっしぐら。どうだい?言ったとおり面白くもなんとも無かったでしょ?〉
コメント
:いやwww どこからつっこめば良いのやらww
:そもそもファブゼロ、お前フ〇リキュアになりたかったんかwww
:俺らでもそれは考えたことなかったで
〈えー?誰しもが一回は憧れるもんじゃないの??〉
:いや、女なら分からなくもないけど。おまえ男やん
〈ふーん。まぁつまりは紳士かそれ以外かってことね。ボクは紳士だから。君らと違って〉
そんな感じで、過去にあったボクのコンプレックスの原因となった話を名前や可愛いと言われていたことなどは省いて、フ〇リキュアになりたかったことをかいつまんでマイク越しに画面の向こう側へと語る。
女子高に入学して二年目を無事に迎えたボクだが、この配信をしている時間とアニメを鑑賞している時間が今じゃ数少ないボクの生きがいとなっている。
そう、配信だ。
立ち絵も何もなく、ただ画面には丸文字で『ざつだん』と書かれているだけの、顔出しも何もしていない本当にただの雑談配信。
コメントで言われているとおり、ここでのボクは視聴者から男だと思われている。もっと正確に言えば、キモオタのおじたんだと思われている。
配信でのボクの名前はファブリーズ・ゼロキャノン。視聴者たちからはよくファブゼロでとおっている。
ボクが配信活動を行っていることは、家族しか知らない。
学校の誰もしらない。
そりゃそうだ。だって配信でのボクは、ボイチェンを使って男性の声で喋ってるんだから。
それにキモオタおじたんキャラと言うだけあって、人気はまったくと言っていいほどない。
ただ、こうしてごく一部の人たちが必ずボクの配信に集まってくれている。つまり彼らはこんなボクの大事な固定ファンとも言える。
こういう存在を、ボクみたいな奴は大切にしていきたい。
ボクは彼らとの、コメントと一緒にアニメや漫画について語り合うのが大好きだから。
〈――――それじゃ、今日も来てくれてありがと。ばぁーい〉
心の中でも感謝の言葉を繰り返しながら、ボクは配信を切った。
まさか、数日後にあんな事件が起ころうとは。
この時のボクはどんなものにも寿命があるということを正確に理解していなかった。
◇ ◇ ◇
聞いたところによると、どうやら今は男の子もフ〇リキュアになれるそうですね。
物語の都合上、男女差別紛いのことを書いてしまいましたが、私は男の子がフ〇リキュアになっても良いと思います!
息抜き作品なので更新不定期注意です
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