三分以内に出来ること

What You can do in less than 3 Minutes

　世の中には三分以内にやらなければならないことがあったりなかったりするけどさ、注意しなきゃなんないのは『三分』じゃなくて『以内』の方ってことさ。

　何故、『未満』じゃなくて『以内』なのか。『三分未満』は『二分五十九秒』までってことだろ？　『三分以内』は『三分ゼロ秒』まで……待てよ、『三分五十九秒』までか？　いやいや、それじゃ『四分未満』になっちゃうな。『三分一秒』から『三分五十九秒』までは何処に行っちゃったんだ？

　こういう時は別の何かに例えると良いんだな。『三歳以内』は……何か変だな、『三歳以下』の方がしっくり来るか。『三歳以下』は四歳の誕生日の前日午後十一時五十九分までってことで間違ってないな。あっ、数え年って考え方もあるか。おぎゃあと生まれた瞬間にもう一歳って奴な。言われてみればゼロ歳っておかしいよな、人間として存在してるのにさ。学校に入学したらゼロ年生で、ピッチャーの初球はゼロ球目なんてどう考えても変だろ。てことは『三歳以下』は『四歳以下』と同じってことか？　『四歳以下』は『五歳以下』とイコール？　じゃあ『未満』はいつ使えば良いんだ？

　そうだ、昔から気になってることがある。例えば少子化問題の話。一人の女が生涯に産む子供の数が発表されるけど、よく小数点以下がくっ付いてるだろ？　『一人未満』の人間が存在するってことになるじゃんか。こういうのって人権問題とかじゃないのか？　数え年なら一歳だし、満年齢にしたってゼロ歳だろ。『ゼロ歳未満』の人間ってどういうことだよ、胎児ってことか？　いやいや、それだって一人の人間だろ。精子だって一匹って数えるだろ。

　――おい、聞いてるか？　聞こえてるか？

　もう良いみたいだな。火葬場だって直ぐには焼かないらしいね、もし遺体が息を吹き返したらヤバってんで。

　人間なんか三分以内で殺す自信があるけど、後始末まで含めたらそう簡単じゃない。特にあんたは大柄だから、何個以上に分割しようか。