第24話 封印作戦 その4
攻撃はさらに激しさを増していく。
ガーディアンが石を散弾銃のように連射して放ってくる。
「やばばばばいなの!」
『流石に避けきれないな』
結界を張り防ごうとするが、そこはやはりガーディアンというべきか、ただの石でも俺の結界を破壊する威力を持っていた。
『やっべぇ! これやっべぇ!』
「はぁ!」
シロナが剣の俺を使いうまく弾いていく。流石にノーダメージとまではいかないが急所を外すことができた。
「マスター、ナイスタイミングなの!」
『あれ? なんで俺、形状変化使ったんだ?』
なぜかシロナが今俺に何をして欲しいのかが自然と頭に入ってきた。もしかしてシロナの同調スキルのおかげか?
『サリアたちは……何とか捌き切ってるみたいだな』
「ねぇマスター、このガーディアン頭悪いなの」
そういえばそうだ。こいつはS級以上の実力がありながらあっさりと俺たちに誘い込まれているし、なによりそんなに強くない。いや、強いには強いんだがS級以上かと言われたらそれほどでもない。
攻撃の種類もある程度一緒だし、避けることもできる。
「よわよわなの〜」
その瞬間、ガーディアンの動きが変わった。
『おいおい、ドリル連射ってマジかよ』
「うわっあぶっないなの!」
さらには地面から岩を出す攻撃や石の散弾の攻撃も同時にしてくる。
こいつ、もしかしてキレた? え、こいつ言葉わかるの?
『シロナちゃんなにをやってくれたのかな?』
「もしかしてシロナやっちゃったなの?」
「……」
サリアたちががこちらに集まってくる。
「シロナちゃん! ここは協力して攻撃を防ぐわよ」
どうやら、全員で固まり凌ぐ作戦のようだ。
「なぜいきなり攻撃が激しくなったんだ?」
「……わからないなの」
いやシロナちゃん、そんなシリアス顔で嘘ついても俺は知ってるからね。
ドローンを集合させ壁のように整列させてから結界を構築する。こうすることで、より強固な結界にすることができるのだ!
ガーディアンの攻撃とドローンたちの結界がせめぎ合う。くぅ〜めちゃくちゃかっこいい! まるで近未来の戦闘シーンみたいだ。まぁこっちの世界はどっちかというとファンタジーなんだけどね。
「いきなり出てきたからびっくりしたけど、この空飛ぶアーティファクト? 凄いわね」
「あぁ、攻撃だけでなく結界も出せるとはしかも一体一体の攻撃力も高い」
「ふふん! そうなの、マスターはすごいの!」
俺を掲げ、誇らしく笑うシロナ。少し恥ずかしいのだが。
「そのアーティファクト、マスターていう名前なのね」
「聞いたこともないな」
「これ全部マスターの力なの!」
「そ、それは随分と規格外の能力ね」
「なぜ、それほどのアーティファクトが今まで見つかっていなかったのか。まさか、レジェンドアーティファクトなのか」
「その可能性もあるかも。でも考えるのはこの戦いが終わってからよ」
ガーディアンをトンネルの中に誘導する。高さがギリギリでガーディアンが通ると天井の一部が少し削れていく。
前世ではもちろん高身長だったけど!(※平均ぐらいです)羨ましいなんて思ったことはなかったけど! 背が高すぎるってのも困りものだよな。
「これがゲートか」
結界構築タイムリミットまであと1分。
「みんな! ラストスパートよ!」
「あぁ!」
「はいなの!」
ガーディアンの後ろに回り込み全員でゲートに押し込む。
「アビサルフレイム!」
「サンダーバード!」
サリアの深淵の炎とアレキサンダーの雷鳥がガーディアン目掛けて飛んでいく。
「はぁぁぁぁ」
サリアが叫んだ瞬間炎の出力がさらに増しガーディアンをゲートに押し出す。ただガーディアンも結界や地面を隆起させ何とか耐えているようだ。
「マスターあれやるなの」
『じゃあいくぞ!』
ドローンには他の機能がまだあるのだ。
俺はライフルモードに形状変化する。
『合体!』
ドローンが俺の周りに集まり次々に変形し始める。さらに変形したドローンたちがお互いに合体し、俺の銃口と合体する。
「マスターがデカくなったなの!」
『合体、それはロマン』
「ロマンなの!」
『だいたい合体するだけでかっこいい!』
「マスターかっこいいなの!」
『俺の故郷のスーパーな戦隊たちの乗り物も、何十年も合体し続けているだぞ』
「すーぱーな戦隊?」
『とてもスーパーな戦隊だ』
まぁ、そんなことは置いといて。合体して変わったのは見た目だけじゃあないぜ。単純に威力が倍以上になってる。使用魔力はもっと増えてる。
先端に光が溜まっていく。
「おりゃ〜喰らうなの!」
ドパン
光が地面を大きく抉りながら進んでいく。そして、ガーディアンの結界が光線を迎えうつ。透明な結界と光線がせめぎ合う。
「あれ〜さっき結界破壊した時はもっと楽に壊せたなの」
『こいつ手加減してたんじゃないのか』
ハハハ、まだ本気出してないなんて……こんなの倒せるかぁ!
少しづつ押し出せれているが、あの巨体が踏ん張っているのを押し出すのは俺とサリアをもってしても、かなりキツイ。
魔力を全て使い尽くすつもりでさらに攻撃する。
「マスター頑張って!」
『はぁぁぁぁぁぁ!』
体が痛い。出力を上げ過ぎて、無理をし過ぎたみたいだ。だけど耐える。ここで封印できずに魔力がなくなったら、シロナが危ない。
絶対ゲートに入れる!
「ゲートを開けるぞ!」
ゲートとガーディアンの距離はあと10m。
マジかよ! ここに来て魔力が足りない。サリアの魔力もあと少しで尽きそうだ。
「マスター頑張れーーー!」
『うおおおおおおお!』
何か方法はないのか、スキルを再確認しても使えそうなものはない。
ちっくしょう! このままだと間違いなく負ける。それだけはだめだ!
『最適化完了。システムオールグリーン』
いつものスキルを発動する時の声が聞こえる。ただいつものように機械的ではなく。少し人間味を感じる声だ。そういえばこの声聞いたことがある。
俺がこの世界に来た時に聞いた声だ!
『誰だ?』
『私はあなたをサポートするために神より創造された者です。起動に時間を要してしまい申し訳ございません』
サポート? 神? いまいち何を言ってるのかわからないが、サポートってことは手助けしてくれるってことだよな。
『なんで誤っているのかわからんが、今は緊急事態なんだ。助けてくれないか?』
『了解しました。ゲートにガーディアンを送還すればいいのですね』
何でわかったんだ? まぁ話が早くて助かる。どうやらなにか策があるようだし。
『最適解を行使します。スキル"アカシックレコード干渉権限"を使用し、神域に干渉します……成功しました。続いてコアを対価とし、自己進化を新たに拡張します……成功しました』
おお、なんかすごいことをやってるみたいだ。神域に干渉とかすごい厨二っぽいワードだな。
『コアを使用します。自己昇華レベルアップ』
なんか一気に体が楽になった。しかも全ステータスが回復してる。
よしこれで行けるぞ!
『最大出力だぁぁぁ』
ガーディアンの結界が割れ、ガーディアンの体の至る所が弾け飛ぶ。
ガーディアンは踏ん張るがそんな意思も虚しくゲートへと吸いこまれて消えた。
「今なの!」
「————不可侵なる領域に敵を封印せよ"絶対領域"」
ゲートに八芒星が描かれそこから円が何十にも連なり、ゲートは薄い膜のようなものに覆われた。
「封印完了っ」
ばたりとネフェリアが倒れる。
「だ、大丈夫なの?」
急いで駆け寄るが特に外傷は無さそうだ。あの攻撃の中でノーダメージはさすが結界師だな。どうやら結界で防いでいたらしい。
「ネフェリア、あなた大丈夫なの?」
「やぁ、サリア。これが大丈夫だと思う?」
「軽口叩けるぐらいには元気どうだけどね」
「ひどいな〜。だって私ずっと詠唱してたんだからね。アーティファクトにずっと魔力吸い続けられるし、ほんと大変だったんだよ」
「一番のMVPはシロナちゃんだけどね」
「まぁそれはそうかも、ちゃんと見てたよ。あそこでさらに光線の出力をあげるなんて、どれだけ魔力もってるのよ」
「マスターのおかげなの!」
「そのアーティファクト本当にすごいわね」
『いやいやシロナも頑張ってたぞ。今日はお祝いだ』
「やったー!」
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