第22話 封印作戦 その3


 凄い速度で近づいてくる気配、大きな魔力。


「地響きが聞こえるなの」

『とうとう来たのか』

「気合い入れるなの」


 封印完了まであと20分。ギリギリにゲートを起動し中にガーディアンをシューーー! 


 ネフェリアを巻き込まないように戦わないといけない。正直今でも俺たちにガーディアンの足止めなんてできるのか?なんて思っている。だけどもう後はない、結局やるしかないんだ。


 一度遺跡から出る。


「マスター、アレキサンダーさんがいるなの」

『サリアもいるぞ』


 それを追っているのはガーディアン。さすがA級とB級だな。ガーディアン相手でもチェイスできている。


「シロナちゃん! 来たわよ!」

「サリアさんと一緒にいた冒険者さんたちはどこにいったなの?」

「それならアレキサンダーが来たときに町に戻るように指示したわ」


 確かに俺たちの戦いについていくには最低でもB級はいるしね。帰らせるのは正解だな。


「よく1日も逃げられたなの」

「ああ、それはね。冒険者たちで交代しながら逃げてたのよ」

「なるほどなの」


「話している時間はないようだ」

「そう見たいね」

「後15分なの」


 地面が浮き上がり圧縮されていく。あの時の攻撃だ。間違いなくくらったらワンパンの攻撃だな。


「みんな避けるなの!」


 ドリルのような形に圧縮された岩が回転を始めるが問題はない。前回とは違ってその攻撃はもう知っている! あの時は避けるのが遅くて攻撃を喰らってしまったけど、早めに動き続ければ当たらない……はず。


『あれ? なんかこっちにドリル向いてない?』

「もしかして追従してくるなの?」

『スーーー(汗)』

「追従なの! みんな気をつけて!」


 あれ? まだ飛んでこない。回ってます回ってます。いつもより多く回ってます。


 ドンッ


『キタキタ』

「うわあああ」


 ビュン


 あっぶねぇ!? シロナの目の前通ったぞ。シロナがイナバウワーしてなかったら完全に死んでた。


 周りを見ると全員避けているようだ。サリアに至ってはむしろ近づいて攻撃を当てにかかってる。


「さすがサリアさんなの」

『俺たちもいくぞ』

 

 さっそく最高火力を叩き込んでやるぜ。スナイパーライフルモードだ。


「しっかり狙って……ヘッドショットいくなの!」


 着弾点の空間からバリンという音がしてガラスのようなものが崩れ去った。きっと結界だろう。これでだいぶ攻撃が入るようになったんじゃないかな?


「マスターとっておき4つ目行くなの」


 4つ目のとっておき。その鍵は"眷属召喚"と"分割思考"この二つのスキルである。なぜこのスキルをLv.Maxまで上げているのか。それはこの時のためである。


『"眷属召喚"』


 俺たちの後ろにたくさんの魔法陣が浮かび上がる。その中から三角形のような形をしたものが出てくる。ふっふっふこれが、俺の眷属ドローンちゃんたちだ! 若干ガン◯ットに見えなくもないが別にパクっているわけではない。ないったらないのだ。


 このドローンちゃんたちはそのままだとできることは少ない。え? 役に立たねぇじゃねえかって? チッチッチ、こいつらが本領発揮するのは分割思考を使った時だ。


『"分割思考"』


 このスキルは名前の通り一度に多数の思考をこなすことができる。いつもは魔術の多重詠唱にしか使っていないのだが、今回はそういう使い方ではない。


『リンク』


 そうドローンに俺の思考を移すことで全てのドローンを操れるのだ。しかも自分のスキルも使える。つまりだ、この状態で形状変化を発動してリボルバーモードになれば、いつでも自由に色んな位置から弾を打つことができるのだ!


『一斉発射!』


 まるで蜘蛛の糸のように張り巡らされる大量の水色の閃光。耐えきれずガーディアンの体の金属が吹き飛ぶ。


 お、結構効いてるみたいだ。これならワンチャン倒せるかも……なんていう慢心はしないけどね。だってこいつS級以上だし、現状俺たちが勝てる確率は低いだろう。


『結界構築まで残り7分だ』


 徐々にゲートの方まで誘導できている。あれ、こいつとゲートのサイズギリギリじゃね? 入るかな。ここで入りませんでしたー、なんてなったら俺たちやばくねぇか。ま、まぁサリアはやばそうな炎でガーディアンの体の一部を溶かしたりしているし、アレキサンダーも雷を剣に纏わせて結構いい攻撃を当てれているみたいだ。


 地面から飛び出してくる巨岩を空中跳躍でかわす、さらに地面から尖った石槍のようなものが丁度着地点に這い出てくる。こいつの攻撃いやらしいな。シロナは体を空中で捻り空中跳躍で躱す。


 俺はドローンの制御に集中し、シロナは避けるのに専念する。このドローン攻撃はドローンの数が多いほど制御が難しくなる。人間だったらこのスキルがあってもきっと脳が焼き切れてるだろう。アーティファクトでよかった。


 その代わりに魔力が湯水の如く溶けていく。ギリギリ持つとは思うが、魔力切れなんか起こしたら動けなくなって完全に足手纏いになっちまう。なんとか耐え切りたい。


『タイムリミットはあと5分! 耐え切るぞ』

「りょーかいなの!」


 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る