第27話 生配信ならセーラー服で(玉藻の前は女教師で)
「明さん! できましたよ、セーラー服! ほら、茜ちゃん!」
「ど、どど、どうっ、です、か?」
「うん、ばっちりだね。似合ってるよ茜ちゃん、愛里ちゃん」
冒険者協会が生産系スキルを発表してから2日。いまだに世間の興奮は冷めていない。
全放送局(1つを除く)が特番を放送したこともあって、冒険者以外の人たちへの影響も大きく、生産系スキルを求めてダンジョンへ入る人が急増したとか。
今までは、冒険者と言えばモンスターを倒す存在であったが、生産系スキルが発見されたことで、生産専門の冒険者――生産職への期待が高まった。
ファンタジーなことが好きでも戦闘はちょっと……、と言った人でも、生産職ならば危険なくファンタジーを楽しめる。
また、得た生産系スキルは、別に冒険者に関わる以外にも活用できる。すぐに思いつくのは〈裁縫〉だろうか。
「明さんの女教師スーツもできていますよ!」
「き、着てみて、ください」
「分かった。変身!」
〈裁縫〉スキルが上がると、コンピューターのように型紙を起こし、レーザー裁断機のように布を断ち、ミシンのように布を縫うことができる。
とてもコスプレに便利だ。
「どうじゃ。おかしなところはないか?」
「ばっちりですよ!」
「に、似合ってますっ」
「あっ、明さん。スーツを着ているんですね。ちょうど良かったです。これはスーツに合わせるメガネです。どうぞかけてみてください」
「うむ。これで良いか?」
このメガネも〈鍛冶〉スキルで作製したものだ。レンズだけは〈錬金術〉を使っているけどね。
「玉藻先生かっこいいです!」
「す、すごいっ」
「とてもきれいです」
他にも、〈木工〉スキルは家具なども作れるだろうし、〈細工〉はどこでも必要だ。これからいろいろな検証が行われ、その有用性が確かめられていくことだろう。
「彩華ちゃんもセーラー服に着替えましょうよ!」
「良いですよ。着替えてきますね」
そして、この情報をもたらした、私たち『マヨヒガ』の価値も高まっていくのだ。むふ、むふふ。最高に楽しい!
「はい。これで皆さんとお揃いですね」
「あ、彩華ちゃん、かわいいっ、です」
「茜ちゃんも可愛いですよ。なでなでしましょう」
「う、ううっ」
始めは、ポーション作製が忙しいのをなんとかしようって話だったのに、冒険者協会を巻き込んだ生産系スキルの発表にまで話が大きくなっちゃった。でも、ロールプレイ環境の安定に繋がったし、結果オーライだ。
皆もコスプレして楽しそうだしね。
「明さん! 折角着替えたんですから、このまま生配信してみませんか?」
「さ、さんせい、ですっ」
「明さんが先生ですから、私たちは生徒ですね」
「生配信じゃと? するといっても、内容はどうするんじゃ」
「それはテキトーに考えます! 彩華ちゃん、配信ブースのセッティングをお願いします!」
「分かりました。茜ちゃんも手伝ってもらえますか?」
「はいっ」
「明さんも行きましょう!」
「これ、そんなに引っ張るでない」
そして私も楽しい。装備・衣装チェンジの予定もあるし、新しい武器なんかも作れる。生産系スキルはロールプレイに彩を与えてくれる。
これからもどんどん楽しんでいこう!
「生配信、始めますよー! スタートっス!」
――――――――――――――――――――
【あとがき】
これにて4章終了です。お読みいただきありがとうございました。
この後は、掲示板回を1つ、生配信回を1つ、登場人物紹介を1つ投稿します。
5章の開始には少しお時間をいただきたいと思います。再開した際には読んでいただけると嬉しいです。
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