第2章 ストーカーは犬耳美少女
閑話
モンスターたちは一塊となって〈門〉を目指す。
仮初の体の内より湧き出る欲求に従って、ただひたすらに〈門〉を目指してダンジョンを駆ける。
それは狂気とも言えるかもしれない。
狂気はたやすく伝播し、モンスターの一塊は瞬く間に巨大になっていく。
それはもはや、大きな大きな仮初の生き物というべきもの。
ついに〈門〉へと到達した仮初の生き物によって、〈門〉は開き、モンスターは解き放たれた。
そして人を喰らう。仮初の体を真実のものにするために。
真実の体を得たモンスターは、産声を上げた。
◇ ◇ ◇
街を襲ったのは、地上に現れた地獄だ。
慈悲はなく、狂気に侵された地獄は、瞬く間に広がっていく。
女、男、子供、老人、そこには何の区別もなく、等しく地獄に飲み込まれていく。
建物に逃げ込んでも意味はない。それは聖堂とて同じこと。情け容赦なく蹂躙され、建物ごと破壊された。
街中の人々を喰らいつくし、地獄はようやくその動きを止めた。
その地獄の見た目は、すらりとした体躯に純白の羽、伝承による天使にそっくりであった。
血に濡れた天使が討伐されたのは、地獄が現れてから1年と少し後のこと。
この地獄を忘れないと人々の心に刻まれた、6月のことだ。
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