主婦・冬美の「あと3分」

 冬美ふゆみには三分以内にやらなければならないことがあった。


「ふんふ~ん ふふ~ん♪」


 年の頃は四十代くらいだろうか。ひとりの女性がダイニングキッチンのテーブルに皿やグラスを並べている。

 鼻歌交じりでお祝いの準備をしているのは、主婦・冬美。とても嬉しそうな笑顔を浮かべ、ご機嫌の様子だ。


「秘蔵のチーズと……あっ、あのシャンパンも出そうかな!」


 シャンパンのボトルを片手に、ふと壁掛け時計に目をやる冬美。


「あと三分……あと三分で私の願いが叶う……その前に準備を終わらせて、あのひとに電話しないと!」


 ぽんっ


 恍惚とした表情を浮かべながら、冬美はシャンパンの栓を抜いた。



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