女子高生・夏美の「あと3分」

 夏美なつみには三分以内にやらなければならないことがあった。


「はぁ はぁ はぁ はぁ はぁ」


 闇夜を切り裂く高輝度のヘッドライトと点滅するテールランプ。深夜の街を一台の白いクロスバイクが疾走している。全力でペダルを漕いでいるのは、高校一年生の夏美だ。

 公園を通過時に設置されている時計で時間を確認。


「あと三分……くそっ、ふざけんな!……絶対、絶対許さないんだから!……」


 怒っているような、悔しいような、そんな表情を浮かべて悪態をつきながら、下手な原付バイクよりも速いスピードで、夏美は深夜の街を駆け抜けていく。戸神市駅へ向けて。



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