白鯨と呼ばれた海賊
耆熊
はじめに
これからここに書くのは、私が遠い昔に経験した奇妙な旅の話である。
あれは実に奇怪な経験であった。あれより先にも後にも、あんな体験をすることは無いだろう。二度と御免だ。それほど異様で忌まわしい記憶なのだ。
思い出したくもないが、思い出さねばならない。約束をしたのだ。これを書き残すと。それがきっと、死んだ彼らの供養になるからと。しかし随分と時間が経ってしまった。私に残された時間も多くは無い。
私の大切な物を全て海の藻屑にしたあの怪物と、私はどのように出会い、どのようにして逃れ、今こうして机に向かいペンを持っているのか。それを書き残すまでは死ねないのだぞと、今、自分の腕に、身体に言い聞かせているところだ。
さて、これは随分昔の話であるから、私の記憶には少々おかしな所があるし、抜け落ちているところも沢山あるだろう。私が昔につけていた小説まがいの日記を元に、どうにか読める形にして、ここに書き残していこうと思う。
親愛なる友たちの、安らかな眠りを祈っている。
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