みそ汁(四)

 おじちゃんは人間の食べ物を口にしなくなった。しばらくすると、ザリガニのエサもあまり食べなくなった。しきりに、生臭いから、水を変えてくれと、日に何度も、バアバに水を変えてもらった。バアバは淡々とそれに応じた。


 試験前、夜遅くまで屋根裏部屋にいた私は、三食パンをかじっていた。私はきみどり色のうぐいす餡が嫌いだったので、「おじちゃん、食べる。もっと食べないと死んじゃうよ」とおじちゃんに言った。

 おじちゃんはしばらくしてから、おいちゃんもうぐいす嫌いと答えた。

 そして、最後の変な話をした。


 息子のタカルはいつまで、ザリガニのままなのかしらとバアバは毎日、つぶやいておりました。

 ある日、バアバは、鳥となって、どこかに行ってしまいました。「イツマデ、イツマデ」と鳴きながら。


 「なに、その変な話」と私が言うと、おじちゃんは「いま、思いついた話」と答えた。

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