B型猫

 そもそもB型猫は、全体の20%いるかどうか、という比率です。

 それはそうですよね。AB型を抜いたとしても、血液型の遺伝子パターンを考えれば「A/A=A型」「A/B=A型」「B/B=B型」の出方の三つ。

 その組み合わせで考えれば、B型の子猫が生まれるのは「A/B+A/B」か「A/B+B/B」か「B/B+B/B」の三種類。

 しかもこれ、一つ目だと25%の確率で、二つ目だと50%の確率でB型になる上に、場合によっては前の項目でお伝えした子猫の貧血に繋がってしまうこともあります。


 子猫が命を落としてしまう危険性を考えれば、母猫と違う血液型になってしまう可能性は、極力なくしたい。

 だからこそ善良なブリーダーさんたちは、基本的に「A/B+A/B」や「A/B+B/B」を採用しません。


 学生の生物の授業のようになってしまいましたが、ようするに自然界では母猫の母乳で亡くなってしまう子猫も存在するということです。

 なので結果、ブリーダーさんが繁殖する猫たちは基本的にA型が多くなります。


 が!


 だからといって、B型の猫が全くいなくなってしまうのかといえば、実はそうではなく。猫種によっては、B型の子が多いと言われている場合もあります。

 有名なところでは、ブリティッシュショートヘアとか、エキゾチックショートヘアとか。

 最近人気の猫種だと、ラグドールもB型が比較的多いと言われていますね。

 あと意外にも、近年の猫種ランキングの常に上位にランクインしているスコティッシュフォールドにも、10~25%の確率でB型の子がいるようです。


 この辺りは、調べてみるとすぐに出てきますから。

 興味のある方は、一度詳しく調べてみてください。結構、面白いですよ。


 さて、そうなってくると。問題なのは、万が一の時です。

 正直なところ、普段の生活で輸血が必要になる状況は、人間でもそうありません。

 家の中で暮らしている猫ちゃんは、もっと少ないはずでしょう。


 でも、万が一にも輸血が必要な病気になってしまったら?

 輸血が必要になるほどの、手術を受けることになってしまったら?


 問題は、ここにあります。


 お手持ちのスマホで、インスタでもXでも構いません。「#B型猫」を調べてみてください。

 きっと、思っている以上にたくさんヒットするはずです。

 そして同時に、つらい思いをしている猫ちゃんと飼い主さんも、目に入ることになるでしょう。


 残念ながら、人間のように血液パックのようなものは今現在、存在していません。当然、人工血液も。

 つまり、その都度どこかの猫ちゃんを頼らなければならなくなるわけです。


 にもかかわらず。

 実は、病院に血液を提供してくれる「供血猫」が必ず存在しているとも限らず。

 それどころか、血液が必要になったら飼い主さんが探してね、という状況です。


 そうです。残念ながら、動物病院同士の繋がりは、存在していません。

 そして、大切なのはここからです。


 もし、自分の家の猫ちゃんが、B型だったら……。


 その場合、簡単にドナーが見つかるとは限りません。

 しかも困ったことに、同じB型だからといって、必ずしも輸血できるとは限らないのです。


 けれど、そんなことはそこまで頻繁に起きません。動物病院の先生でも、滅多にB型猫に遭遇しないそうです。

 そもそも血液型を調べること自体、ほとんどしていないのですから。当然ですよね。


 でも、滅多にないから調べなくていい。

 本当に?


 現に、SNS上では今日も、B型猫ちゃんの輸血を待っている人が大勢います。

 飼い主さんは必至です。だって、家族の命がかかっているのですから。


 このエッセイを書こうと思った理由は、そこです。

 血液型がB型だという理由だけで、輸血も手術もできずに助からなかった猫ちゃんたちがいる。これは、紛れもない事実です。


 実はエッセイを書く決意をした理由は、その数日前にB型猫ちゃんが亡くなってしまったという報告を読んでしまったから。

 もしも、血液型がA型だったら。もしも、もっと早く輸血できていれば。

 その子の飼い主ではなくても、そう考えてしまったんです。


 とても身勝手かつ、個人的な考え方ですが。

 それでも、そう思わずにはいられませんでした。


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