とりあえず
眞壁 暁大
『○○には三分以内にやらなければならないことがあった』
誰でも、そういう締切を勝手に何ものかによって決められることはある。
しかしその締切に納得感があるかどうかはだいぶ変わってくる。
今週の自分がそうだ。
そろそろこの季節だな、と思って準備していたものの、週末に急な仕事が入って書こうと思っていた時間が潰れた。
こうなってくると
・やらされている仕事
・やりたいこと
がギュッと詰まってくる。つまらなくていいのに。
そして勝手な仕事の割り込みによって締め切りまでに使える時間が極端に減少したことについては納得してないどころか不満しかない。
いまも苛立ちが燻り続けている。
しかしこの仕事という苦役の強制力はなんなんだろうか?
それがなければ生活が成り立たない(カネがない)ため、しかたなく従ってもう何十年にもなる。
ここからはやりたい仕事をしている人には関係のない話になる。
やりたくもないがまあカネを得るにはしかたない、と一旦は妥協して始めたが最期、どんどん押し込まれて
「最初にこれなら我慢できる」と自分が引いていた最低線を軽々と突破して負担を強要してくるのが、仕事の圧の強さである。
他に選択肢がいくらもある未来の拓けた人ならこの圧は軽々超えられるのかもしれない。ほかにいくらでも仕事はあるからだ。
しかしながらそうはいかないのも居る。おれのように。
そういう「殴りつけても文句を言ってこなさそうなチキン」に対して圧をかける嗅覚が、企業という人間集団はずば抜けているよな、と思う。
「殴りつけたら文句を言いそうなやつ」を避ける能力がえげつない。
いくつか職を転々としてみたものの、生き残っている会社のカタチをした人間集団はこの選別がとても上手。
意識してそうしていたのか、あるいは無意識なのかはわからない。
ただ、企業というのは
「殴りつけて従わせることのできる個体」
「殴りつけても従わせられない、逃げる個体」
とを区別する能力が長けているよな、としみじみ思う。
能力的には秀でている、じっさいに他所からも声がかかっているような高能力者であっても「殴れば従う」という目利きが鋭い。
かつて辞めて潰れた会社もあるが、そういうところはその手の目利きが雑で手当たり次第に誰彼構わず強引なやり方でノルマを積んでいって低能から高能までまんべんなく逃散されていた。
一方で存続している会社は、贔屓目に見ても頭数合わせだなぁ、という感触の構成員であっても反発されそうならタタキの対象とはせずに回避し、逆に気弱な高能力者であればいくらでもタタキの対象とする。
こうした扱い、ムチを入れて強引に働かせる対象というのはある程度働かせて傾向を見た上で処遇を切り替えていく、とかではない。
最初からのキメウチで
「こいつは使い潰せる、こいつは厄介だからダメ」
という処遇でどんぴしゃりなのが多すぎる。
どうすればそうした目利きが鍛えられるのか、さっぱりわからない。
仕事とは、それを強要するための装置である企業という人間集団は、まことに恐ろしいものであると感じた次第。
とりあえず 眞壁 暁大 @afumai
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます