粉砕!バッファロークライマーany%RTA:3分10秒02

@manta100

バッファロー要素はありません

零細RリアルTタイムAアタック走者、はしりものには三分以内にやらなければならないことがあった


「三分で全てを撃滅するRTAはーじまーるよー」

「早速スタートです」

「計測開始はタイトルでスタートボタンを押したところから」

「計測終了は画面に"THE・END"の文字が出きったところです」

「はい、もう画面の方は始まってますね」

「このゲームは見ての通り突き進み続けるバッファローを動かして全30ステージをクリアしていくゲームです」

「はい、ここでわざと右岩にぶつかります」

「その後、この”START”の点滅が消えるまでBバッファローボタンを連打して」

「画面が切り替わる瞬間右とAボタンを長押しして――」


よどみない解説と操作。三分しかないのだから細かな説明をしている暇は彼にはない。

詳しい事を知りたければ100%RTAの方を見てほしい。


画面の方では自機であるバッファローのテクスチャがバグり01の輪郭と崩壊した四つ足を動かしながら分裂を始めている。

そのまま右側三分の一を埋め尽くしながら全てをなぎ倒しステージを崩壊させている。


「OK!これで第一関門は突破です」

「これ一発で超えるのが10回に1回行ければいい方なので」

「本番で一発成功は爆アドです」

「このペースならワンチャン2分台ありますよ」


賢明なる読者の方はこの小説のタイトルを見ないでいただきたい。


「まあ、二分台出ないと私の所に全てをなぎ倒すバッファローが突っ込んでくるので命がけなわけですが」

「それはさておき、ここからは一気に操作がシビアになります」

「分裂した状態を維持しつつ、加速度を溜めます」

「今3ステージ目を突破し、4面に入った所ですね」

「ここで一気に加速して29面までぶっ飛ばします」

「隊列を崩さない様にしながら左回転を始めて」

「ここでは曲げすぎても曲げなさすぎても駄目です。今背景を飛んでるカモメの曲がり方を参考にしていきましょう」

「まあ、ここは背景があるので何とかなります。問題は次」


そうこうしているうちにバッファロー軍団がぶっ飛び、ステージ表記が文字化けし始めている。

タイム表示は2分を過ぎた所。いよいよ大詰め。


「第三関門、ここで入れ替わり続ける表記を見つつ、ステージ30…最終面に綺麗に止める必要があります」

「ある程度文字化けしている数字が読める人ならばアタリぐらいはつけられますが最終的には運なので」

「祈りましょう」


ガリガリガリガリと動き続けるそれを見つつ、ドドドドドドと現実リアルの方でも聞こえてきたバッファローの地響きにも動じない。


「ストップ!!!」


文字化け表記が戻っていき――


「あっ」

ステージ29の表記で止まる。


「……えー、はい。では完走した感想ですが」

ここからはほぼ流れ作業の為、尺の都合で既に感想を言い始めている。


ズドドドドドドド―――

そして、平原のど真ん中に置いてあるテレビと古めかしいゲーム機、それを操作し続けているはしりものへめがけてバッファローが突っ込んでいき。


バグシャア!!!


「完全に最後の見切りをミスりましたね。練習不足でした」

無造作に、左掌でその衝突を止めながら解説を続ける。

ゴォン!!!と、バッファローを地面に叩き付ける音が聞こえる。


「後半の練りが弱かったのもありますが、やはり緊張してしまいましたね」

「次走はもっとその辺りを克服してから…おっと」

「はい、ここでタイマーストップ。記録は3分10秒02」

「あ、それとKAC2024のお題では”全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れ”のため――」


ドガァ!!!

既に物言わぬ骸と化したバッファローを蹴り飛ばし、二・三度跳ねていくそれを見やる。


「このバッファローは全てをなぎ倒せなかった為バッファロー要素はありません」

「次走はKAC2024のお題に沿ってやっていくことになると思います。不甲斐ない走りだったのはお兄さん許して」


「では、次の小説でお会いしましょう。バイビー」



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